⇒越後駒山行報告3へ ⇒1へ ⇒速報その他
イトヤンの報告へ ⇒イトヤンの報告に対するRES


越後の山の避難小屋縦走(その2)(byコアラ)

◎8月16日(土)
●コースタイム
丹後山避難小屋6:20−丹後山6:25〜30
−利根川水源碑6:55〜7:10−大水上山7:25〜30
−兎岳8:05〜25−小兎岳8:50−鞍部9:20
−標高1936m地点(昼食)10:50〜11:40
−池ノ段11:50〜12:00−中ノ岳12:20〜13:10
−檜廊下14:50〜15:00−天狗平16:20〜17:00
−諏訪平18:00−グシガハナ分岐18:20〜25
−越後駒ヶ岳山頂18:40〜45−駒の小屋19:05

●丹後山−兎岳
早朝に外に出てみると、虹が出ていて、
ブロッケン現象を見ることが出来た(らしい)。
避難小屋を出発したのは、自分たちが最後であった。
2日目は、天気が良すぎるくらいの良い天気であった。
だからこそバテたのであるが。
丹後山(標高1808.6m)を過ぎ、利根川源流部の稜線を歩く。
丹後山の避難小屋に泊まったのは、
利根川源流部原生自然環境保全地域の景観を
この目で見てみたいと思ったからであるが、
利根川の源流部は、厚い雲の下であった。残念。
対面の利根川源流の稜線には、頂上が平らな特徴的な平ヶ岳が見える。
あそこの山にも自分が登ったのだなと思うと、感慨深い。
またもう一度登ってみたい山の一つである。
大水上山(標高1831m)の手前のピークに、利根川水源の碑がある。
ここで記念写真を撮る。

※(余談)後で判ったことだが、この碑は今の国土地理院長が、
利根川上流事務所の所長をしていた時に、碑を建てたらしい。
院長も山登りが趣味みたいで、仕事ではヘリで登ったらしいが、
私が歩いて碑に行ったと話したら、良くあそこまで行ったなと言われた。

大水上山から平ヶ岳にのびる藪に覆われた稜線を右に送り、
利根川源流部とはお別れである。
この後急斜面を登って、兎岳(標高1925.8m)。
ここで結構疲れてしまい、ここから急斜面の中ノ岳を見たら、
あんな標高差登る元気が無いなと弱音を吐くが、
タケちゃんは余り本気にはしていない。
(自分も本気では無かったが、この後それが本当になるとは?)

なお、兎岳くらいまでは、昨日夜遅くに着いたカップルと一緒だった。
彼らは新潟県内の人なので、新潟の山には詳しく、
休憩時間に色々情報交換をさせてもらった。
彼らは十字峡に車を止めているので、越後駒までピストンするらしい。
かなりの健脚である。

●兎岳−中ノ岳
兎岳から荒沢岳に続く藪に追われた稜線を右に送り、
小兎岳に向かって斜面を下る。荒沢岳はとがったピークを持ち、
いずれ登ってみたいと思わせる素晴らしい山容を示している。
小兎岳周辺には雪田跡のお花畑などがあり、綺麗な花が色々咲いていた。
ここから中ノ岳手前の鞍部まで、緩いアップダウンを繰り返しながら、
だんだん標高を下げていくが、
直射日光を直に浴び、かなり疲労が激しくなってきた。
最低鞍部から中ノ岳の山頂まで300mの標高差であるが、
この登りがきつく、
5分登っては5分休むというようなペースになってしまった。
途中でシャリバテでエネルギーが無くなってしまいダウン。
独立標高点1936m地点で昼食にする。
しかしながら疲労が激しく、余り食事が喉を通らない感じである。
お湯を沸かしてコーヒーを飲むと、
砂糖やミルクの甘さが疲労を回復させてくれる。
というわけで、1時間近く休んでしまった。
この後登山再会したが、しばらくは元気で登れたものの、
また5分歩けば5分休むというようなペースになってしまった。
池の段で十字峡からの直登ルートと合流し、そこで休んだ後、
20分後に中ノ岳(標高2085.2m)の山頂に到着した。
兎岳から中ノ岳までコースタイム2時間半のところ、
今回休憩を入れて4時間かかったことになる。
(とはいっても、お昼の時間50分を含んでいるので
それを除くと30分の遅れだが)

中ノ岳は越後三山の最高峰で、かなり奥深い山である。
ここからの越後駒ヶ岳や八海山の展望は素晴らしい。
ここで十分景色を堪能した後、日陰の中ノ岳避難小屋の中で少し横になる。
中ノ岳山頂でも1時間近く休んでしまった。
結局、中ノ岳を出たのは、当初の予定よりは2時間の遅れであった。
携帯の繋がるところでイトヤンにTelしたが、繋がらなかったので、
駒の小屋に到着するのは6時頃になると伝言に入れた。
この時点で午後1時なので、コースタイム通りで4時半くらい。
安全を見ても6時には必ず着くと踏んでいたのであるが−−−
本来ならこの疲労度なら無理をせず、中ノ岳に泊まって、
翌日十字峡に下りるべきだったかもしれないが、
越後駒の小屋でイトヤンが待っているので、無理して進むしかなかった。

●中ノ岳−越後駒
中ノ岳からは、背丈以上もあるような深い笹の急斜面を下りる。
もし単独行なら、はっきり言ってイヤになってしまったかもしれない。
避難小屋で休んでいたので、ある程度体力も回復しており、
だいたいコースタイム時間通りに檜廊下の入口まで来た。
しかし、ここからが大変だった。
檜の根が絡み合って、歩行困難な道である。
歩行困難とはいっても、これまでの経験からは大したことはなく、
難なく通過は出来たのであるが、手足を体をフルに使っての、
アップダウンの多い難所通過だったために、
知らず知らずの間に疲労していた。
難所を通過した後も、
笹の深い斜面で片足を変なところに乗せて転ぶことが多くなった。
単に転ぶのなら、尻餅だけだが、残された足に踏み込む力が無く、
そのまま斜面を何度も転げ落ちた。
笹の根に引っかかって滑落するまでには行かないが、
そこから登山道に戻るのに非常体力を消費した。
自分なりに慎重に足元を見ているつもりだが、
注意散漫やわかっていても足が残せないなど、
かなり疲労が蓄積しての転落である。
越後駒ヶ岳に登る直前の最低鞍部である天狗平に着いた時には、
変更後の予定タイムをも、30分以上も遅れてしまった。
また、この檜廊下を通過している時に、遠くで雷が鳴っていた。
もし雷が来たら、稜線上だし逃げるところはないので、ピンチである。
足早に通過出来れば良いが、何しろバテているので早くは歩けない。
本来ならとっくに小屋に着いている時間なので、
これで雷に遭遇したら、タケちゃんに申し訳ないなと思った。
しかし、天狗平に着いたあたりだともう夕方になっていて、
緩やかな日差しが山々を照らし、雷雨の心配は遠ざかった様だ。

ここから先は、もう標高差300mを登る体力は残されておらず、
少し広くなった登山道の真ん中に座り込んで、
ここで湯を沸かしてコーヒーを飲むなどして、活力を養った。
もう夕方4時を過ぎてあり、日差しはそれほどきつく無く、
ゆっくり休めた。40分近くも休んでしまった。
水無川の沢のスラブが夕日に照らされて輝いており、
何ともいえぬ風景である。
バテなければ、とっくに小屋に着いている時間であるから、
バテたおかげでこの風景が見れたのかな、
等と変なことを考えてしまう。
その頃、越後駒方面から急斜面を下りてくる人たちがいる。
兎岳まで一緒だったカップルであった。
越後駒まで行って、今日は中ノ岳まで戻って泊まるそうである。
天狗平からだと、圧倒的に越後駒の方が近い。
彼らは今夜もヘッドライトで避難小屋に着くことになるのであろう。
しかもこれからの暗くなる時間帯に、あの檜廊下や背丈以上ある笹藪を、
急な登りで通過しないといけないのである。
自分であったらかなり気が滅入ってしまう話である。

ここから標高差300mの急斜面を1933mの諏訪平まで登るのであるが、
長めの休憩を取った後で、日差しも緩く、展望も良いので、
結構気が紛れて順調に登れそうであったが、
やはり休み休み登ってしまうことになった。
ただし、稜線上なので、遅くまで明るかった事が幸いした。
1933m峰からは緩やかな稜線なので楽になる。
この辺り一帯はお花畑らしいが、だいぶ暗いことやお盆の頃でもあり、
余り綺麗な花は見かけなかった。見る余裕も無かったということか?
水無川からの登山道とクシガハナの分岐で合流する。
天狗平からここまでコースタイムで40分のところ、
倍の1時間20分かかっている。
実は中ノ岳から縦走で見えていた越後駒は、1933m峰からこのあたりで、
ようやくこのあたりに来て、越後駒の山頂が見えてきた。
しばらく歩き、小倉山への分岐が右にあり、
見下ろすと下の平坦部に今日泊まる駒の小屋が見えている。
ここから少し行けば越後駒の山頂である。

かなり遅い時間になっていたが、明日登れるかどうかもわからないので、
ピストンしてみることにした。
山頂には、神社と開山の師の像が建ってあった。
360度の展望であるが、かなり暗くなってしまい、余りよく見えない。
背後に八海山の鋸状の凄い稜線が見えているが、
余りに暗いので写真は撮れなかった。
一応、山頂で記念写真は撮り、5分程度ですぐ下山することにした。
駒の小屋まで一気に急斜面を下りるが、
暗くなってきたのでヘッドライトを付けた。
タケちゃんには先に下りてもらって、
コアラは自分のペースでゆっくり下りた。
バテていたというよりは、
暗くて足下がよく見えないので慎重に下りたかったのである。
どうにか7時過ぎに、暗くなってから小屋に到着した。

●駒の小屋
丁度イトヤンがあきらめて料理を作り始めていたところであった。
再会を喜んだ。同行したタケちゃん、
だいぶ待たせて心配させたイトヤンには、
大きな迷惑をかけてしまった。申し訳なかった。
タケちゃんも、本来なら7〜8時間で歩けるところを、
ゆっくりペースとはいえ、12時間歩かせることになってしまい、
自分のペースでなく、かつ休み休みということで体が温まらず、
それなりに辛い思いをさせてしまったと思う。
イトヤンが二人の代金も先に払ってくれて、
寝るスペースは確保してくれていた。
一応避難小屋ということもあり、
7時過ぎだともう寝ている人たちもいるので、
小屋に入る前に外で料理して夕食を食べることにした。
結構風が強く、小屋の影で風よけにはしていたものの、結構寒く辛かった。
小屋からは、夜景の町の灯りがとっても綺麗であった。
あの町の灯りは長岡かな小出かなと話していた。
イトヤンが荷揚げしてくれたビールを飲みながら、夕食を食べた。
タケちゃんはイトヤンが荷揚げした日本酒である。
駒の小屋は避難小屋とはいっても小屋番がおり、寝具もあるので、
マットや寝袋は不要であった。比較的快適な寝具で寝ることが出来た。
小屋自体も最近立て直されたみたいで、かなり綺麗な小屋であった。
使用料は1泊2000円である。