犬や猫の正常血圧と高血圧
PES-1700を使えばペットの血圧を毎日でもご自宅で測定することができます。では、いったいペットの正常血圧、高血圧とはどのぐらいの値を指すのでしょうか。
犬・猫の血圧
犬の正常血圧ですが、一般的には収縮期血圧(最高血圧)は100mmHg~180mmHgが正常値と言われています。犬の場合、健康な状態で血圧検査をする数が人間に比べて極端に少なく、身体の大きさ、犬種など個体差も大きいため、確固たるデータはありません。犬全般の平均値ではなく、自分の犬の健康時の値を知っておくということが重要です。
猫も同様です。一応、収縮期血圧(最高血圧)は140~150mmHgが正常値と言われてます。 ある研究によれば
- 正常=150mmHg未満
- 境界=150~159mmHg
- 高血圧=160~179mmHg
- 重度高血圧=180mmHg以上
高血圧で起きる症状
上記のように高血圧になっていると、さまざまな症状が現れてくる危険性が高まります。主なものとしては 脳卒中・認知機能障害 虚血性心疾患・心不全 腎不全 網膜症 大動脈・末梢動脈疾患 運動失調 などがあります。
高血圧になる原因は
犬や猫の場合、腎疾患、副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能亢進症、心臓病、糖尿病などが原因で高血圧になりがちです。
もう少し詳しく言うと
- 腎疾患
副腎疾患
腎盂腎炎
慢性間質性腎炎
多発性嚢胞腎
糸球体腎炎
アミロイド症
糸球体硬化症
慢性腎不全
- 副腎疾患
副腎皮質機能亢進症
褐色細胞腫
高アルドステロン症 - 甲状腺疾患
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能低下症 - その他
僧帽弁閉鎖不全症
貧血
高脂血症
糖尿病
赤血球増加症
末端巨大症
高エストロゲン症
となります。
逆にいえば、高血圧のペットはこれらの病気を疑ってみることになります。
また加齢に伴い血管の弾力性が失われるため、血液が流れにくくなります。
そのため、心臓は血液を流そうとするために圧を強くするので、血圧が高くなります。歳をとった犬・猫は高血圧になりやすいと言われています。
正しい測定法
ペットの場合、血圧を測ろうとしてもなかなか言うことを聞いてくれませんね。腕帯を外そうとしたり、チューブに噛みついたり。また、腕帯がうまく巻けないとか、エラーになってしまうこともあります。
ちょっと古いですが、日本獣医循環器学会が発行している『動物の循環器』23 巻 (1990) 23 号に載っていた論文を紹介します。ここでは雄のビーグル犬10頭を使って、オシロメトリック式全自動血圧計と直接法による測定の比較を行っています。
「イヌの非観血的血圧測定に関する基礎的検討」(中田 義禮, 錦辺 優, 宮沢 英男, 近藤 秀男, 成瀬 信次, 木川 孝, 鈴木 順, 佐村 恵治, 臼居 敏仁, 菅野 茂)
- 直接法との間では,前肢における測定値が最も高い相関性を示した。
- 繰り返し測定による血圧値の再現性では,1回目,2回目より,3回目が低い値を示す傾向が認められた。
- 測定時の体位については右側横臥位が懸垂位および直立位に比べて低値を示す傾向にあり,これにはカフと心臓との位置関係が大きく影響していた。
- 隔離された動物飼育室で飼われているイヌでは明らかな血圧の日内変動が認められなかった。
つまり、前脚で測るのが一番確実である、繰り返し測ると測定値は低くなる、横になって測ると低くなる。といったことです。