上野 裕久 1918年生 東京帝大卒 1966年より本学教養部にて法学を担当されている。 |
−教官の研究などは
上野 学部とくらべればそれは悪い。研究機器もないし、自然系の先生は非常に因っている。それに助手が一人もいない。文部省が教養部を研究機関としてあまり認めないものだから。
大学の中では一番矛盾が教養部にしわよせされてる。
−講義の内容については
上野 最初の二年にやるせいもあるだろうが、どうも予備校的な性格があって、どうしても概論をいっぱいやらなければならないので学科目自体は高等学校とあまり変わらないものが出て来るわけだ。でも内容が、例えば事項が同じでも取り上げ方とか分析の仕方とかはかなり異ってくるだろうね。
−単位制度をどう思います
上野 単位制度というのはやはり学生が勉強したかどうかを認定する必要があるから、しょうがないではないか。単位制を学科日制にしても同じ事なのだかから。
学生をほっといても勉強する、という事はあまり無いしね。やっばり子供は遊ぶのが好きなんだよ。本当にわかったか確かめるためにも試験は必要だね。
−教養部に大学院を作る話を聞いたのてすが
上野 非常に難しいけどね。なんとか教官数を増やさんといけない。広大みたいに学部に変えられれば、広大はあれで七〇人位増えたからね。
−総合科学部ですか
上野 そう、うちも総合科学部にして教官を五〇人位増やせたらと計画したのだが、どうも無理のようだ。そこでレベルアップだけでも、と教養部に大学院を創ろうと検討して来たんだが、文部省が認めた事がなくて、やはり非常に難しいみたいだ。
−新しい大学の方向として筑波や大学院大学などがありますが
上野 やはり筑波はいろいろと問題があるね。
最大の問題は教授会がなくなるということ。学部を廃止して学群に分けて、などは一つの試行で良いと思うのだが。ただ教授会を解体して人事は人事委員会がやっていること、それに学長権限の強化、このあたりで危険性が出て来るんだ。
−ところで教養部の職員横暴だとかであまり学生に評判が良くないのですが
上野 組織が大きくなってくるとどうしてもそういう傾向が出てくるんだな。非常に事務的になって来る。教養の場合なにしろ学生の人数が多いからね。
学生も掲示なんか良く見てないで期限が過ぎてから持って来たり、などというのもしばしばある。
−交通規制が実施されたとき教養部なんか職員が玄関前に自転車を置かない様一日中立っていて怒鳴っていたのですが
上野 うん教養部の職員は真面目なんだよ。真面目過ざてね。それに人数が多いから玄関前に並べられると本当に困る。
もっとも規制が厳しかった面もあるので少しゆるめるつもりだよ。
−交通規制に関しては事前に学生に何の話もなかったのですが
上野 実際学生の意見を聞くのは難しい。自治連でも有ればその代表者に提示して、という事ができるんだがなにしろ学部の自治会も無い所が多いし。
−一方的な決めつけ、というので五月一日付の学長告示が問題になってますが
上野 学生が三里塚空港の開港に反対するのはやってもいいと思うが、その方法には限度があって、それを踏みはずすような事をやると刑事事件になるし、大学でもほっておけない場合も出てくる。農民の為と言ってもね。
−告示の「不法行為をそそのかす様な掲示物を謹しめ」という文、拡大解釈で表現の自由をいくらでも規制できるのでは
上野 実際に大学がそこまでやることは無いだろう。それに犯罪行為をそそのかせば教唆罪になるからな。その様なビラを貼っていると刑事責任を追求される事もあり得る。文面が問題になって来るわけだ。
−不法行為と言うのかあいまいなのですね
上野 あいまいと言えばあいまいだけど。やはり法律に反する行為が不法行為だよ。まあ学生が考える程に表現の自由を押さえるなんて事は無いだろうよ。
−最後に学生に一言
上野 うんやはり学生にはもっと勉強してもらいたい。今のうちに勉強して自分自身の物の考え方を形成しておいた方が良いね。
また体も鍛えるべきだ。のらくらしているのが一番良くないな。
−どうもお忙しい所ありがとうございました。