2日目の夜中、空を見上げると満点の星。中央よりやや西側にぼんやりと白い帯がかかっているのは雲ではなく、天の川か。2004年の夏休みには折立から薬師岳~黒部五郎岳~三俣蓮華岳~双六岳~新穂高温泉と縦走したが、その時以来の星空を見たような気がする。
朝は晴れていたので、タープやテントを乾かしながら撤収。今日も小川山で登ることにした。徒渉があるけれど、近場で易しめルートがあることから兄岩、父岩あたりを候補とする。
廻り目平入って、下の林道に駐車。やや混んでいるが停める場所を探して苦労するというほどではない。キャンプ場もそこそこ空いている。7月の3連休は檄混
みだったようだが、8月の夏休みは意外と穴場か。キャンプ場の雰囲気としてはみずがき山自然公園の方が落ち着いていて、地面も平でいいのだけど、小川山で
登ることを考えれば廻り目平に泊まる方がよっぽど効率的だ。次回の検討課題。
いつも苦労する西俣沢川の徒渉も、水量が少ないのか飛び石伝いに楽に突破できた。ただ、普段より上流を渡ったため、現在地の把握ができない。しばらく登る
と岩場に到着。ハンガーがあるけれど湿っぽくてあまり良い雰囲気ではない。「ここが兄岩か?」。取り付きに1人ギアを並べて準備している男性がいた。「お
はようございます」と挨拶をしたら、なんと森師匠だった。青山さんとみずがき山自然公園にキャンプしていたという。管理棟より西側のエリアにいたのだろうか。
師匠もこの岩場を「ここ、兄岩だよね」と自信がなさげ。よ~くルートを眺めるとどうやら弟岩であることが確定した。「ぼくらは兄岩に行きます」ということで先に進む。
兄岩に着いたものの、石原君に「小川山物語」を登ってもらいたく、食料など重い荷物を置いて父岩を目指す。ここで道を間違えてしまい、左から岩をよじ登り、藪漕ぎしながら斜面をトラバース。ようやく父岩下部に到達。目の前には長いスラブがそびえている。
「この左側が小川山物語で、5.9のお薦めです」と、石原君にオンサイトマスタートライしてもらうことに。ロープをつけていざスタートというところで神田
さんがやってきて、「小川山物語はこの右上ですよ」。危ない危ない。もう少しで「岸壁の父」(5.10b)をマスターオンサイトで取り付くところだった。
小川山物語の前に移動すると、確かにここは2006年に登った記憶がある。というか、岸壁の父の面と小川山物語の面がすごく雰囲気似ている…ような気がする。
ここで気を取り直して石原君のオンサイトトライ開始ということで、数手登ったところで右目が痛くなる。ブユ対策にBen`s 100というアメリカから個人輸入した強力な防虫スプレーを使っているのだけど、それが目に入ってしまったのだ。Ben`s
100はDEETという防虫成分が98%入っている。ムヒなど国産の防虫スプレーは数パーセントしか入っていないから、いかに強力かが分かるだろう。腕や
脚に塗っても、しばらく肌がカっと火照る感じがする。もちろん目や口に入らないよう注意しなければならないけれど、山では額や耳など顔の周りもブユに刺さ
れる。気をつけて塗ったはずが失敗したようだ。
まだ1ピン目をかける前だったが、目が開けてられない激痛なので神田さんにビレイを代わってもらう。ペットボトルの水で右目を洗う。白目が真っ赤になっている。後はひたすら目を洗い、身動きできずにぐったりしているだけ。
石原君のオンサイトトライは、4ピン目ぐらいまではスムーズに行ったものの、その先あたりで行き詰まってしまう。もっとも目を開けているのがつらいので、あまり見ていないが。
1時間半ぐらいハングドッグして粘ったけれど、どうにも進めず敗退。
神田さんが回収便を出そうとしたら、途中まで登ったところでいきなりの雨。たちまち岩全体がびっしょりと濡れてしまい、神田さんも敗退する。レインウェアを着込み、荷物にはシートをかけて雨が止むのを待つしかない。
2時間ぐらい待っただろうか。雨があがり、空が晴れてくる。上部はどんどん乾いてくる。これならば登れそうだ。だけど1ピン目までが木陰となっていて濡れたまま。しょうがないのでその辺にあった枯れ枝でプリクリップし、回収便スタート。
帰りはちゃんと踏み跡を辿って、問題なく兄岩に到着。食事にありつけた。金峰山荘で眼科の場所を尋ねたが、川上村には1軒もないという。佐久総合病院小梅分院か、長坂の北杜市立甲陽病院まで
ナナーズ寄って土産を購入し、藤本で焼き肉定食。石原君は初藤本だった。のんちゃんは姿が見えなかったけれど、夜のお座敷に向けて昼寝していたのだろうか。
運転はずっと石原君にお願いし、ぼくは後部座席でレストする。神田さんとは須玉IC手前のガソリンスタンドで分かれ、そのまま中央高速に。最初、10km
渋滞とか表示されていたけれど東京に近づくにつれて渋滞は短くなり、小仏トンネル手前ではついに5kmに。べったり止まることなく、かなりスムースに走っ
て分倍河原にたどり着いた。ここで2人を降ろし、解散。
結局、この日は1手も登ることができなかったけれど、大事にならなかったというのはラッキーだったかも。それと、今回はボルダーマットとカムの出番が無かった。ボルダーやるならやるで、日程を決めておかないと無理か。