朝6時半に眼が覚める。心配した全身筋肉痛にはなってなかった。クライミング(してないけど)でもティップネスでのスタジオレッスンや筋トレでもやっていない動きをしたので、どうなることやら心配だったのだが。単に要領が悪くて無駄な力をつかっていただけだったのだろうか。朝風呂入って朝飯食って出発。食事については特別割安価格のためか、ちょっとがっかり。
今日のアプローチは、ほとんどの機材を岩場に置いてきたので楽勝。今日は池田山さんがリーダーに指名され、井上さんが地上支援要員。新田さんは僕にマンツーマンで付いていただき、他の3人はそれぞれ単独で作業に入った。昨日使った松下のハンマードリルは、僕にとってはパワーが有りすぎてコントールできていないので、新田さんの14.4Vマキタにする。軽い。
ユマーリングがキモ
やっぱりユマーリングがうまくできない。フリークライミングでは岩を登るのであって、ロープを登るユマーリングなどやることがないもの。だが、リボルト職人はユマーリングが必須であり、できないと話にならない。
泊まりで岩場に行った時、初日は身体が慣れて無いのでうまく動けず、2日目から調子が上がる場合もあるが、1日目に疲れ過ぎると2日目も回復せず、ダメなまま終わってしまう。今回はそのパターンだったようだ。それでも必死になってユマーリングで3ピン目までたどり着く。
ここは旧ボルトを抜いて、その場所に新しいケミカルアンカーを設置する。そのため、昨日はやっていない旧ボルトの引き抜き作業をまずやらないといけない。新田さんはカムとスカイフックで体勢を固定しているので、そこからスリングを伸ばしてもらって自分もワークポジションを取る。登る時には、作業に使わない余分なものは置いておけと言われるが、何が必要で何が不要かをきちんと判断できなければならないことを痛感。
必要な機材を的確に判断できること
今回の例だと
などが必須。
まずハンマードリルと6mmピットで旧ボルトの周りに穴を開け、その下に12mmピットで穴を開ける。ハンマーで叩いて緩め、最後にバイスプライヤでこじって引き抜く。この時にハンマードリルを岩に直角に当てるように注意される。曲がってしまうと旧ボルトを削ることになり、負荷が増える。
古いボルトはけっこう長いものが使われていて、下穴開けに手間取った。
次に12mmピットで下向き15度の穴を開ける。これが新しいケミカルアンカー用。穴の上にアンカーの顎が収まるくぼみを作ってやらないといけない。セルフビレイヒモを持って工具を垂らし、鉛直方向を確認してから顎の穴を削るのだが、ピットの刃先が滑ってしまってなかなかうまくいかない。こういう場合は岩面との直角にこだわるのではなく、安定して削れる方向にドリルを向けて軽く穴を開け、そこから下に向けて掘っていけば良いという。
穴が開いたらブロアで吹き、ブラシでこすって削りくずを掻き出す。ケミカルアンカーを入れて深さ、角度などがちょうどいいか確認する。浅かったり傾いていたらドリル作業を繰り返すとか、タガネで削るなどしてあわせてやる。
位置が決まったらブロア吹きとブラッシングを3回ぐらいやり、粉が出なくなったら水を注ぎ込み、さらにブラシでこする。水が透き通ってきたら歯ブラシでこすってやる。ブロアで何度も吹いて水気を吹き飛ばす。
新田さんはこのまますぐにケミカルアンカーの設置作業を始めた。大助さんによれば、RE500は濡れていても施工できるが、やはりできるだけ乾かした方がいいのではないかと。
グルーガンのノズルを穴の奥まで差し込み、ゆっっくりと引き抜きながらハンドルを握ってグルーを注入していく。ぐずぐずしているとノズルの周りがグルーでベトベトになってしまうし、早すぎると空洞ができたりする。本番の穴だけでなく、古いボルトの穴、そして上の顎にもグルーを入れる。
グルーが完全に充填されたら、ノズルの外側についたグルーをボルトでぬぐってやり、すぐぼろ布できれいに拭く。服やロープに付くと取れなくなってしまう。ボルトを少し回りながらゆっくりと穴に挿入していく。当然ボルトの体積分グルーが溢れてくるので、へらで下を抑えながら押し込む。完全にボルトが収まったら、へらで周りをきれいにならしてやる。一筆書きのようにへらをスムーズに動かし、平らにするのがポイントだ。ちょんちょんやっているとグルーの表面がデコボコになって汚くなってしまう。
1本ボルトを埋め込んだら、触ったり蹴ったりしないように注意しながら次のボルトまでユマーリングし、同じ作業を繰り返す。
そして終了点まで到達。昨日施工した全ネジボルトがもう完全に固まっているので、まずは終了点を付け替える。いつまでも、不安な8mmオールアンカーの終了点に2人の命を預けていたくはないから。
まず、全ネジボルトにハンガーを取り付ける。全ネジボルト+ケミカルの場合はハンガー、平ワッシャー、スプリングワッシャー、ナットの順番となる。グージョンの場合はスプリングワッシャーは使っていけない。
自分が穴を開けた側は岩の表面とハンガーの間に隙間が空いてしまった。これは穿孔時に岩面に対して直角にドリルを当てなかったから。穴が傾いているのでボルトも傾き、ハンガーも傾くから隙間が出る。新田さんがタガネで少し下地をはつって、できるだけ平らになるようにしたが、完璧には行かず。許容範囲ということでそのままハンガーを固定し、さっさとメインロープやセルフビレイを新しい終了点に掛け替えた。
「とうりゃんせ」の終了点は岩の形状などから、スリングで30cmぐらい伸ばしてカラビナを下げていた。リボルトでもラッペルステンレスでは長さが足りないので、ステンレスチェーンを使って同じ位置にカラビナをかけるようにする。チェーンは充電式サンダーで切断する。太いステンレス製なので、切断するのも一苦労だ。チェーンを切断し、マイロンを付けたら終了点は完成。あとはサンダーで古いボルトを切断する。
最後に懸垂下降しなければならない。1本のロープをラビットノットで2本に分けているので、そのまま降りたらロープが回収できない。ロープの片方を引き上げ、左右の終了点のマイロンに通す。そしてラピッドノットの結び目を片方にまとめ、環付きカラビナで固定する。こうすれば、結び目の反対側は固定されているのでシングルロープの懸垂下降ができる。二人とも降りたら、結び目のある側のロープを引っ張れば、何も残置することなくロープが回収できる。
午後は地上支援要員に
午後は、スピードアップするために新田さんと井上さんも単独で作業に入ることになり、自分は地上支援要員ということになった。
職人検定不合格は確実だが、地上要員も大事なスタッフなのだ。必ず忘れ物があったり、落とし物があったり、バッテリーやグルーが無くなったり、ピットが焼けるという場面がある。地上支援要員がいなければいちいち地面まで降りてまたしんどいユマーリングするしかない。また、ハイカーなどが岩場の近くを通ることがある。そういった時は大声で「人が通ります」と作業メンバーに声をかけ、全員が返事をしてくれるのを確認しないといけない。
地中に埋もれたiPhoneを発見
でも、上にいる人から用事を頼まれるまではやることがない。幸いと行方不明のiPhone探索を続けた。落ち葉をかき分けて探したところ、昨日、グージョン打ちの練習をしたボルダーの下に埋もれているのを発見した。そういえば、ぼくと池田山さんの荷物が散らばっていた記憶がある。黒い液晶面が上に向いていたので気がつかなかったのだろう。土埃をかぶって薄汚れてしまったが、無事に動いてくれた。
無事に講習会終了
終わり間際になって、左側のルートの1ピン目が穴開けだけ済んだ状態になっていた。このままでは困るので、登ってブロアをブラシで掃除し、さらに水洗い。ちょっと長めに乾燥させてからグルーを打ってケミカルアンカーを装着した。まぁ、なんとかきれいに収まっただろう。
最後、池田山さんのルートのヌンチャクやカラビナをユマーリングで登りながら回収。途中、カラビナがハンガーに直がけしてある場所でアッセンダーがカラビナに絡んでしまったりして焦ったが、どうにか全部を外すことができた。
終了予定時刻は16時のはずだったが、作業中のルートは完了させなければならないので、結局全員が下山したのは18時をかなり回ったが、事故もケガもなく撤収。お気に入りのかわかみ君Tシャツにグルーがべったり付いてしまったのが悲しい。岩場専用にすればいいのだが。リボルト作業では汚れてもどうなってもいい服を着ることだ。
2日間のリボルト職人検定講習。とにかく筋の悪い職人見習いで、大助さんもこれが有料講習でなければ「もう、おまえ帰っていいよ」と怒鳴りつけるところだったろう。まずはユマーリングでするすると、疲れることなく登れないと話にならない。幸い、冒険の森岩場では好きなようにユマーリングの練習ができるので、トレーニングを積むことにしよう。
ユマーリングがキモ
やっぱりユマーリングがうまくできない。フリークライミングでは岩を登るのであって、ロープを登るユマーリングなどやることがないもの。だが、リボルト職人はユマーリングが必須であり、できないと話にならない。
泊まりで岩場に行った時、初日は身体が慣れて無いのでうまく動けず、2日目から調子が上がる場合もあるが、1日目に疲れ過ぎると2日目も回復せず、ダメなまま終わってしまう。今回はそのパターンだったようだ。それでも必死になってユマーリングで3ピン目までたどり着く。
ここは旧ボルトを抜いて、その場所に新しいケミカルアンカーを設置する。そのため、昨日はやっていない旧ボルトの引き抜き作業をまずやらないといけない。新田さんはカムとスカイフックで体勢を固定しているので、そこからスリングを伸ばしてもらって自分もワークポジションを取る。登る時には、作業に使わない余分なものは置いておけと言われるが、何が必要で何が不要かをきちんと判断できなければならないことを痛感。
必要な機材を的確に判断できること
今回の例だと
- ハンマードリル
- 12mmピット
- 6mmピット
- ハンマー
- バイスプライヤ
- ブロア
- ブラシ(乾用)
- ブラシ(水用)
- 水を入れてキャップに穴を開けたペットボトル
- 歯ブラシ
- グルーガン
- へら
- ぼろ布
- スパナ
- カム・スカイフック、スリング類
などが必須。
まずハンマードリルと6mmピットで旧ボルトの周りに穴を開け、その下に12mmピットで穴を開ける。ハンマーで叩いて緩め、最後にバイスプライヤでこじって引き抜く。この時にハンマードリルを岩に直角に当てるように注意される。曲がってしまうと旧ボルトを削ることになり、負荷が増える。
古いボルトはけっこう長いものが使われていて、下穴開けに手間取った。
次に12mmピットで下向き15度の穴を開ける。これが新しいケミカルアンカー用。穴の上にアンカーの顎が収まるくぼみを作ってやらないといけない。セルフビレイヒモを持って工具を垂らし、鉛直方向を確認してから顎の穴を削るのだが、ピットの刃先が滑ってしまってなかなかうまくいかない。こういう場合は岩面との直角にこだわるのではなく、安定して削れる方向にドリルを向けて軽く穴を開け、そこから下に向けて掘っていけば良いという。
穴が開いたらブロアで吹き、ブラシでこすって削りくずを掻き出す。ケミカルアンカーを入れて深さ、角度などがちょうどいいか確認する。浅かったり傾いていたらドリル作業を繰り返すとか、タガネで削るなどしてあわせてやる。
位置が決まったらブロア吹きとブラッシングを3回ぐらいやり、粉が出なくなったら水を注ぎ込み、さらにブラシでこする。水が透き通ってきたら歯ブラシでこすってやる。ブロアで何度も吹いて水気を吹き飛ばす。
新田さんはこのまますぐにケミカルアンカーの設置作業を始めた。大助さんによれば、RE500は濡れていても施工できるが、やはりできるだけ乾かした方がいいのではないかと。
グルーガンのノズルを穴の奥まで差し込み、ゆっっくりと引き抜きながらハンドルを握ってグルーを注入していく。ぐずぐずしているとノズルの周りがグルーでベトベトになってしまうし、早すぎると空洞ができたりする。本番の穴だけでなく、古いボルトの穴、そして上の顎にもグルーを入れる。
グルーが完全に充填されたら、ノズルの外側についたグルーをボルトでぬぐってやり、すぐぼろ布できれいに拭く。服やロープに付くと取れなくなってしまう。ボルトを少し回りながらゆっくりと穴に挿入していく。当然ボルトの体積分グルーが溢れてくるので、へらで下を抑えながら押し込む。完全にボルトが収まったら、へらで周りをきれいにならしてやる。一筆書きのようにへらをスムーズに動かし、平らにするのがポイントだ。ちょんちょんやっているとグルーの表面がデコボコになって汚くなってしまう。
1本ボルトを埋め込んだら、触ったり蹴ったりしないように注意しながら次のボルトまでユマーリングし、同じ作業を繰り返す。
そして終了点まで到達。昨日施工した全ネジボルトがもう完全に固まっているので、まずは終了点を付け替える。いつまでも、不安な8mmオールアンカーの終了点に2人の命を預けていたくはないから。
まず、全ネジボルトにハンガーを取り付ける。全ネジボルト+ケミカルの場合はハンガー、平ワッシャー、スプリングワッシャー、ナットの順番となる。グージョンの場合はスプリングワッシャーは使っていけない。
自分が穴を開けた側は岩の表面とハンガーの間に隙間が空いてしまった。これは穿孔時に岩面に対して直角にドリルを当てなかったから。穴が傾いているのでボルトも傾き、ハンガーも傾くから隙間が出る。新田さんがタガネで少し下地をはつって、できるだけ平らになるようにしたが、完璧には行かず。許容範囲ということでそのままハンガーを固定し、さっさとメインロープやセルフビレイを新しい終了点に掛け替えた。
「とうりゃんせ」の終了点は岩の形状などから、スリングで30cmぐらい伸ばしてカラビナを下げていた。リボルトでもラッペルステンレスでは長さが足りないので、ステンレスチェーンを使って同じ位置にカラビナをかけるようにする。チェーンは充電式サンダーで切断する。太いステンレス製なので、切断するのも一苦労だ。チェーンを切断し、マイロンを付けたら終了点は完成。あとはサンダーで古いボルトを切断する。
最後に懸垂下降しなければならない。1本のロープをラビットノットで2本に分けているので、そのまま降りたらロープが回収できない。ロープの片方を引き上げ、左右の終了点のマイロンに通す。そしてラピッドノットの結び目を片方にまとめ、環付きカラビナで固定する。こうすれば、結び目の反対側は固定されているのでシングルロープの懸垂下降ができる。二人とも降りたら、結び目のある側のロープを引っ張れば、何も残置することなくロープが回収できる。
午後は地上支援要員に
午後は、スピードアップするために新田さんと井上さんも単独で作業に入ることになり、自分は地上支援要員ということになった。
職人検定不合格は確実だが、地上要員も大事なスタッフなのだ。必ず忘れ物があったり、落とし物があったり、バッテリーやグルーが無くなったり、ピットが焼けるという場面がある。地上支援要員がいなければいちいち地面まで降りてまたしんどいユマーリングするしかない。また、ハイカーなどが岩場の近くを通ることがある。そういった時は大声で「人が通ります」と作業メンバーに声をかけ、全員が返事をしてくれるのを確認しないといけない。
地中に埋もれたiPhoneを発見
でも、上にいる人から用事を頼まれるまではやることがない。幸いと行方不明のiPhone探索を続けた。落ち葉をかき分けて探したところ、昨日、グージョン打ちの練習をしたボルダーの下に埋もれているのを発見した。そういえば、ぼくと池田山さんの荷物が散らばっていた記憶がある。黒い液晶面が上に向いていたので気がつかなかったのだろう。土埃をかぶって薄汚れてしまったが、無事に動いてくれた。
無事に講習会終了
終わり間際になって、左側のルートの1ピン目が穴開けだけ済んだ状態になっていた。このままでは困るので、登ってブロアをブラシで掃除し、さらに水洗い。ちょっと長めに乾燥させてからグルーを打ってケミカルアンカーを装着した。まぁ、なんとかきれいに収まっただろう。
最後、池田山さんのルートのヌンチャクやカラビナをユマーリングで登りながら回収。途中、カラビナがハンガーに直がけしてある場所でアッセンダーがカラビナに絡んでしまったりして焦ったが、どうにか全部を外すことができた。
終了予定時刻は16時のはずだったが、作業中のルートは完了させなければならないので、結局全員が下山したのは18時をかなり回ったが、事故もケガもなく撤収。お気に入りのかわかみ君Tシャツにグルーがべったり付いてしまったのが悲しい。岩場専用にすればいいのだが。リボルト作業では汚れてもどうなってもいい服を着ることだ。
2日間のリボルト職人検定講習。とにかく筋の悪い職人見習いで、大助さんもこれが有料講習でなければ「もう、おまえ帰っていいよ」と怒鳴りつけるところだったろう。まずはユマーリングでするすると、疲れることなく登れないと話にならない。幸い、冒険の森岩場では好きなようにユマーリングの練習ができるので、トレーニングを積むことにしよう。