群馬県の有傘山南国エリアで、JFA主催のリボルト職人検定講習を受けてきた。冒険の森岩場で開拓作業をやっているけれど自己流のため、きちんと技術と理論を身につけ、いずれは他の岩場のリボルト作業でも貢献したいと申し込んだ。
リボルト講習を開催すると告知があったのが3月下旬。2日間で2万円の受講料は厳しいが、滅多にない機会なのですぐ申し込んだ。
機材リストを見て焦る
ところが、いつまでたっても詳細が送られてこない。担当者が多忙のために送り忘れていたようで、催促したら資料が届いたのが20日月曜日。持参すべき持ち物を見て焦った。ハンマードリルやアッセンダーなど、自分では持っていない機材が並んでいる。25日/26日も冒険の森岩場開拓でハンマードリルを使うから、借りていくわけにはいかない。
JFAの井上大助さんからは、自分で買うべきであり、買うならマキタの14.4Vがお勧めと言われた。しかし、5万円前後するのでちょっと手が出ない。これからも岩場開拓のボルト代が何万円もかかるので、そちらに回したいし。Facebookで「誰か貸して下さい」と書いたら、UNDER BLUE HOLDの安田さんから松下の24Vがあるというので、お願いすることに。
アッセンダーは、モノがない以上に使ったことがない。10年ぐらい前のレスキュー講習で1回触った程度か。それにアッセンダーを使ったユマーリングのシステムを検索しても、あまり情報が見つからない。何件かソロクライミングをやっている人のブログがヒットした程度。これも大助さんからは右手用と左手用を買うのが効率的と言われたが、1個1万円近いの吹っ切れない。片手に1個、ハーネスにグリグリを装着すればどうにか登れるらしい。
仕事の合間に四谷のデナリに行き、平野さんにどれがいいかと訪ねたら「ペツルのアセッションで決まり」と言われる。で、アセッションの左手用と環付きビナを購入。
木曜日は、前日に納品が2件済んでちょっと余裕があった。朝から武蔵村山のマーブーに隣接している安田さんの工房へ車で向かい、ハンマードリルを拝借。府中にもどって市役所に行って市議選の期日前投票を済ませ、島忠でいくつか資材を購入。これでどうにか持ち物リストは埋まった。
有傘山を目指す
25日は3時半に起床し、車にアルミ脚立(全長3m)と機材を積み込んで出発。小金井街道から所沢で関越に乗り、渋川伊香保ICで降りて7時半には沢渡温泉駐車場に到着。8時前には他の受講生もやってきた。今回のメンバーは榎戸さん、片寄こーたろーさん、池田山さんと、知っている顔ぶればかり。さらに講師の井上さん、関西岩場環境整備Netの新田さん(Mrビーンズさん)も到着。車3台に分乗して有傘山東口を目指す。
東口登山道入り口に車を置き、ここから機材の担ぎ上げ。平坦で短い冒険の森に慣れているせいか、アップダウンのあるアプローチはきつい。自分はハンマードリルをケースごと持ってきたのだが、途中で充電器が不要だったことに気がついた。車に置いてくれば良かった。
今回整備する南国エリアは10数年前に木村伸介さんたちが開拓したもので、柔らかい流紋岩にカットアンカーなど貧弱なボルトが打たれている。ロワーダウンしながら適当に打ったので、クリップ位置も修正して構わないそうだ。
まず、井上さんと新田さんの講義があり、古いボルトを抜く方法や新しい穴開け、清掃などについての注意を聞く。古いボルトを抜く効率的な方法としてはハンガーを外し、ボルトの4時と8時ぐらいの方向に6mmの細いピットで穴を開け、6時の方向に12mmのピットで穴を開ける。これでエキスパンションの効き目がかなり減っているので、ハンマーで上下左右に叩いていくとだいたいすっぽり抜ける。
FIXEのケミカルアンカーとグルーの場合は古い穴の下に、下向き15度の角度を付けて新しい穴を開ける。全ネジボルトとアンプルを使う場合は水平だ。
穴を開けたらブロワとブラシで削った粉を掃除する。近年掃除不足によるとみられる事故が相次いだので、ヒルティから徹底的に掃除しないと強度が出ないという通達があったという。さらに万全を期すために穴に水を注ぎ込み、ブラシで水が透き通るまで掃除する。ヒルティのRE500というケミカルグルーだと、濡れていても強度に問題はないそうだ。逆にアンプル式は濡れていると施工できないので、水洗いはしない。
今回は使わなかったけれど、グージョンの施工を各自が1本ずつやってみる。みんなが登る岩に勝手に穴を開けては問題になるので、手前に転がっている岩で練習。これはスムーズにやることができた。
10cのルートが登れず
そしていよいよ実際のリボルト作業に取りかかる。まずは普通にリードクライミングして終了点まで登り、FIXロープをセットする。クライミングロープを使うわけだが、セルフビレイを取ってからラピッドノットという変形八の字結びでわっかを左右の終了点にかける。こうすると2本のロープが固定された状態になる。
ところが、自分がやろうとしたルートが登れない。「とうりゃんせ」(5.10c)なのだが、2ピン目がヌンチャクをかけることすらできない。どうやっても手が届かないのだ。結局、カムで支点を作ってテンションかけてようやくヌンチャクをセット。だが、その先も登れず。しばらくもがいていたけれど埒があかないので敗退し、新田さんに登ってもらうことにした。いくら最近登るクライミングをお休みしているからと言って、10cがインチキしても登れないというのはショックだった。ただ、2ピン目については新田さんも悪いと叫んでいたので、1ピン目をちょっと上げ、2ピン目をちょっと下げることに。
ユマーリングも登れない
こうして新田さんにFIXロープをはっていただき、次はアッセンダーを使ってユマーリング。ところが、これがまったく上がらない。グリグリに体重をかけた状態で左手で持ったアッセンダーと、アッセンダーから垂らしたスリングをかけた左足を上げる。腕一杯アッセンダーを上げたら、スリングに立ち込んでグリグリから出ているロープを引く。この動作を繰り返せばどんどん登っていくはずなのだが・・・ バタバタもがくだけでちっとも登れない。グリグリでぶら下がってアッセンダーと足を上げるのはできるけど、スリングに立ち込むのができない。腹筋・体幹が弱いのだろうか。
終了点を全ネジボルトとアンプル式ケミカルセッターで作る
機材リストを見て焦る
ところが、いつまでたっても詳細が送られてこない。担当者が多忙のために送り忘れていたようで、催促したら資料が届いたのが20日月曜日。持参すべき持ち物を見て焦った。ハンマードリルやアッセンダーなど、自分では持っていない機材が並んでいる。25日/26日も冒険の森岩場開拓でハンマードリルを使うから、借りていくわけにはいかない。
JFAの井上大助さんからは、自分で買うべきであり、買うならマキタの14.4Vがお勧めと言われた。しかし、5万円前後するのでちょっと手が出ない。これからも岩場開拓のボルト代が何万円もかかるので、そちらに回したいし。Facebookで「誰か貸して下さい」と書いたら、UNDER BLUE HOLDの安田さんから松下の24Vがあるというので、お願いすることに。
アッセンダーは、モノがない以上に使ったことがない。10年ぐらい前のレスキュー講習で1回触った程度か。それにアッセンダーを使ったユマーリングのシステムを検索しても、あまり情報が見つからない。何件かソロクライミングをやっている人のブログがヒットした程度。これも大助さんからは右手用と左手用を買うのが効率的と言われたが、1個1万円近いの吹っ切れない。片手に1個、ハーネスにグリグリを装着すればどうにか登れるらしい。
仕事の合間に四谷のデナリに行き、平野さんにどれがいいかと訪ねたら「ペツルのアセッションで決まり」と言われる。で、アセッションの左手用と環付きビナを購入。
木曜日は、前日に納品が2件済んでちょっと余裕があった。朝から武蔵村山のマーブーに隣接している安田さんの工房へ車で向かい、ハンマードリルを拝借。府中にもどって市役所に行って市議選の期日前投票を済ませ、島忠でいくつか資材を購入。これでどうにか持ち物リストは埋まった。
有傘山を目指す
25日は3時半に起床し、車にアルミ脚立(全長3m)と機材を積み込んで出発。小金井街道から所沢で関越に乗り、渋川伊香保ICで降りて7時半には沢渡温泉駐車場に到着。8時前には他の受講生もやってきた。今回のメンバーは榎戸さん、片寄こーたろーさん、池田山さんと、知っている顔ぶればかり。さらに講師の井上さん、関西岩場環境整備Netの新田さん(Mrビーンズさん)も到着。車3台に分乗して有傘山東口を目指す。
東口登山道入り口に車を置き、ここから機材の担ぎ上げ。平坦で短い冒険の森に慣れているせいか、アップダウンのあるアプローチはきつい。自分はハンマードリルをケースごと持ってきたのだが、途中で充電器が不要だったことに気がついた。車に置いてくれば良かった。
今回整備する南国エリアは10数年前に木村伸介さんたちが開拓したもので、柔らかい流紋岩にカットアンカーなど貧弱なボルトが打たれている。ロワーダウンしながら適当に打ったので、クリップ位置も修正して構わないそうだ。
まず、井上さんと新田さんの講義があり、古いボルトを抜く方法や新しい穴開け、清掃などについての注意を聞く。古いボルトを抜く効率的な方法としてはハンガーを外し、ボルトの4時と8時ぐらいの方向に6mmの細いピットで穴を開け、6時の方向に12mmのピットで穴を開ける。これでエキスパンションの効き目がかなり減っているので、ハンマーで上下左右に叩いていくとだいたいすっぽり抜ける。
FIXEのケミカルアンカーとグルーの場合は古い穴の下に、下向き15度の角度を付けて新しい穴を開ける。全ネジボルトとアンプルを使う場合は水平だ。
穴を開けたらブロワとブラシで削った粉を掃除する。近年掃除不足によるとみられる事故が相次いだので、ヒルティから徹底的に掃除しないと強度が出ないという通達があったという。さらに万全を期すために穴に水を注ぎ込み、ブラシで水が透き通るまで掃除する。ヒルティのRE500というケミカルグルーだと、濡れていても強度に問題はないそうだ。逆にアンプル式は濡れていると施工できないので、水洗いはしない。
今回は使わなかったけれど、グージョンの施工を各自が1本ずつやってみる。みんなが登る岩に勝手に穴を開けては問題になるので、手前に転がっている岩で練習。これはスムーズにやることができた。
10cのルートが登れず
そしていよいよ実際のリボルト作業に取りかかる。まずは普通にリードクライミングして終了点まで登り、FIXロープをセットする。クライミングロープを使うわけだが、セルフビレイを取ってからラピッドノットという変形八の字結びでわっかを左右の終了点にかける。こうすると2本のロープが固定された状態になる。
ところが、自分がやろうとしたルートが登れない。「とうりゃんせ」(5.10c)なのだが、2ピン目がヌンチャクをかけることすらできない。どうやっても手が届かないのだ。結局、カムで支点を作ってテンションかけてようやくヌンチャクをセット。だが、その先も登れず。しばらくもがいていたけれど埒があかないので敗退し、新田さんに登ってもらうことにした。いくら最近登るクライミングをお休みしているからと言って、10cがインチキしても登れないというのはショックだった。ただ、2ピン目については新田さんも悪いと叫んでいたので、1ピン目をちょっと上げ、2ピン目をちょっと下げることに。
ユマーリングも登れない
こうして新田さんにFIXロープをはっていただき、次はアッセンダーを使ってユマーリング。ところが、これがまったく上がらない。グリグリに体重をかけた状態で左手で持ったアッセンダーと、アッセンダーから垂らしたスリングをかけた左足を上げる。腕一杯アッセンダーを上げたら、スリングに立ち込んでグリグリから出ているロープを引く。この動作を繰り返せばどんどん登っていくはずなのだが・・・ バタバタもがくだけでちっとも登れない。グリグリでぶら下がってアッセンダーと足を上げるのはできるけど、スリングに立ち込むのができない。腹筋・体幹が弱いのだろうか。
終了点を全ネジボルトとアンプル式ケミカルセッターで作る
最初のオンサイトトライとユマーリングで疲れ切ってしまい、終了点に付いた時点でもうヘロヘロ。新田さんが横についてくれているので、現在の8mmカットアンカーとロープスリングによる終了点をケミカルアンカーとチェーンに交換する。今日は穿孔、掃除、全ネジボルトとアンプル装着までだ。
松下のハンマードリルと12mmロングピットで穴を開ける。本当に泥のように柔らかく、よくこれで登っていたものだと感心するほど。冒険の森のカチカチなチャートとは大違いだ。
穴を左右に2個開け、ブロアとブラシで徹底的に掃除して下地完成。旭化成のガラスアンプル式ARケミカルセッターを穴の中に入れ、ハンマーで軽く叩きながら全ネジボルトを奥まで入れる。後は固まるまで待っていればよい。
その後いったん下に降り、1ピン目と2ピン目は位置を変えるのでボルトを撤去する前に穴開け作業を行い、1ピン目にグルーガンでケミカルアンカーを打ち込んだ。とにかく自分の体勢を穴の真っ正面に保持するのが大変。カムやフックなど、いろんな道具を駆使してやる。体勢が悪いと穴が傾いたり、歪んでしまって仕上がりに響く。それにしてもハーネスでずっとぶら下がっているのはしんどい。足がしびれてしまう。
僕以外の受講生は、榎戸さんはもう経験豊富な職人だから問題無い。こーたろーさんと池田山さんはリボルト初体験だけど、二人とも日頃からジムや岩場で登り込んでいるから基礎が高く、それなりに作業ができている。自分は新田さんにマンツーマンで付いてもらって、ようやく作業のまねごとができているレベルだ。情けないなぁ。
iPhoneを岩場に忘れた
一日の作業を終了し、撤収しようとしたらiPhoneが見当たらない。ザックの中に紛れ込んだのだろうと信じて下山したが、宿について中身を全部ぶちまけても出てこない。岩場に落としてしまったようだ。雨が降らないから一晩ぐらいなんとかなるけど、不安だし、メールやWebアクセスもできず心細い。
夕食後はテキストと古いボルトを使っての座学タイム。過去の岩場ではいかにひどいボルトが使われてきたのか、撤去したカットアンカーで数ミリしかボルトが入ってない実例などを見るとぞっとする。
その後、部屋にもどって井上さんを囲んで宴会というか講習の続き。どんな機材を買うべきかとか、岩場の困った人たちの話などで盛り上がった。
松下のハンマードリルと12mmロングピットで穴を開ける。本当に泥のように柔らかく、よくこれで登っていたものだと感心するほど。冒険の森のカチカチなチャートとは大違いだ。
穴を左右に2個開け、ブロアとブラシで徹底的に掃除して下地完成。旭化成のガラスアンプル式ARケミカルセッターを穴の中に入れ、ハンマーで軽く叩きながら全ネジボルトを奥まで入れる。後は固まるまで待っていればよい。
その後いったん下に降り、1ピン目と2ピン目は位置を変えるのでボルトを撤去する前に穴開け作業を行い、1ピン目にグルーガンでケミカルアンカーを打ち込んだ。とにかく自分の体勢を穴の真っ正面に保持するのが大変。カムやフックなど、いろんな道具を駆使してやる。体勢が悪いと穴が傾いたり、歪んでしまって仕上がりに響く。それにしてもハーネスでずっとぶら下がっているのはしんどい。足がしびれてしまう。
僕以外の受講生は、榎戸さんはもう経験豊富な職人だから問題無い。こーたろーさんと池田山さんはリボルト初体験だけど、二人とも日頃からジムや岩場で登り込んでいるから基礎が高く、それなりに作業ができている。自分は新田さんにマンツーマンで付いてもらって、ようやく作業のまねごとができているレベルだ。情けないなぁ。
iPhoneを岩場に忘れた
一日の作業を終了し、撤収しようとしたらiPhoneが見当たらない。ザックの中に紛れ込んだのだろうと信じて下山したが、宿について中身を全部ぶちまけても出てこない。岩場に落としてしまったようだ。雨が降らないから一晩ぐらいなんとかなるけど、不安だし、メールやWebアクセスもできず心細い。
夕食後はテキストと古いボルトを使っての座学タイム。過去の岩場ではいかにひどいボルトが使われてきたのか、撤去したカットアンカーで数ミリしかボルトが入ってない実例などを見るとぞっとする。
その後、部屋にもどって井上さんを囲んで宴会というか講習の続き。どんな機材を買うべきかとか、岩場の困った人たちの話などで盛り上がった。