9月27日広島に戻る途中、京都で途中下車して、比良山系の蓬莱山に登った。
蓬莱山は南比良の最高峰で、山頂付近は「びわ湖バレイ」スキー場となっており、
夏期はそのスキー場が公園化して遊歩道等がある、
ゴンドラとリフトで登れるお気軽な山である。
●なぜ蓬莱山に登ることにしたか
この日は広島に帰るだけだったので、妻も実家だし、深夜に帰っても良かった。
当初は関東の山に登って、最終に近い新幹線で帰ることも想定していた。
新宿に午後7時くらいに戻れれば、最終の新幹線(東京7:53発)に間に合う。
しかし、三百名山クラスで東京日帰りでコアラ未登頂となると、
御坂黒岳、箱根神山、武甲山くらいしかなく、
中央線沿線の高尾から大月にかけての山だと、9月はまだ藪深く不適である。
しかもその日は関東は朝から雨が降る天気予報であった。
そこで、4月の時の比叡山のように関西の山に途中下車して登ろうと考えた。
背広や下着等は宅急便で送ってしまい、荷物は書類とカメラくらい。
しかし、靴はビジネス革靴だけだし、服もチノパンと綿のシャツ。
上着はおろか防寒着も持っておらず、雨具や磁石も持っていない。
地図は関東で昭文社のエイリアマップを買うことにした。
そんな状態だから、山とはいっても
ロープウエイ等を使って登れる観光の山にした。
一応候補に上がったのは、御在所岳、武奈ヶ岳、蓬莱山、六甲山など。
前日時刻表でいろいろ調べてみると、蓬莱山が午前9時半頃東京発のひかりで、
午後1時にはゴンドラに乗れてしまう。
山頂周遊は(女郎ヶ池まで足を延ばしても)約2時間なので、
ゴンドラ最終の5時までに余裕で戻ってこられる。
御在所岳は名古屋から湯の山温泉への移動に結構時間がかかってしまい、
名古屋前日泊か、早朝東京発(6時台)でないと難しい。
武奈ヶ岳は可能かもしれないが、どうせなら紅葉の季節に登りたいし、
こちらも早朝から登り始めて、滝・渓谷・湿原・ブナ林などを満喫したい。
というわけで、可能なら蓬莱山に立ち寄ることにした。
蓬莱山は三百名山なので、桜島をカウントしないことにすると、
この蓬莱山がちょうど100座目に。
というわけで、100という区切りの良い記念山行なのですが、
ゴンドラで上がって、稜線を30分歩いて山頂にという、
山登りのカウントに入れるようなものではないのですが、とりあえず報告。
●ゴンドラを下りるまで
新幹線で移動中、東海では結構雨が強く降っていたが、名古屋付近で小降りに。
伊吹山の近くでは山々を望むことが出来、琵琶湖沿岸に入ったら天気も良くなり、
琵琶湖の向こうに比良山系の稜線が綺麗に浮かび上がっている。
これは比良山に登る事にして正解だっと一人ほくそ笑み、京都駅で下車。
湖西線に乗り、志賀駅に12:50頃下車した。
沿線からは比良山系の山並みが押し出すように迫ってきて圧巻である。
ただし、遠くには厚い雲が流れてきており、何となくイヤな予感が。
下車すると蓬莱山の山容が綺麗に見えるのであるが、
乗り継ぎ時間が余り無いので写真を取らなかった。これが失敗であった。
バスはと探すと、琵琶湖バレースキー場のマイクロバスが止まっていた。
路線バスは土日のみの営業で、平日はスキー場(ゴンドラ会社)の
マイクロバスが無料で送迎してくれるそうなのである。
ある意味、平日来てお得であった。
ゴンドラの山麓駅でチケットを買うが、往復だと安いので往復券を買う。
ある意味で、実はこれが足かせになる。往復1700円(片道900円)。
スキーゴンドラから下りてくる人達は少ないが、
平日ということもあり大体が年老いた観光客である。
(私も格好だけだと単なる観光客だが)
ゴンドラが高度を上げていくと琵琶湖の展望が素晴らしい。
思わずゴンドラの中から写真を撮ってしまう。ある意味これは正解だった。
だんだん厚い雲が山頂稜線にかかりはじめ、ついにゴンドラもガスの中に。
ゴンドラに乗っている8分間のうちに山頂だけガスに覆われてしまい、
あたりは真っ白になり、何も見えなくなった。
●コースタイム
打見山山頂13:20−蓬莱山山頂13:40〜45−小女郎峠14:05
−小女郎ヶ池14:10〜20−小女郎峠14:25
−蓬莱山山頂14:45〜15:00−打見山山頂15:20
●打見山から蓬莱山へ
ゴンドラを下りたところが打見山の山頂であり、ホテルなどの施設がある。
下りたら全く霧の中で何も見えず、しかもかなり風が強く寒いくらいである。
打見山は標高1108mで、ここで記念写真を撮り、蓬莱山に向かった。
ちょうど山から下りてくる人達(山登りの格好)と出会ったが、
彼らは山頂ではギリギリ展望が楽しめたかと思うと、羨ましかった。
打見山から蓬莱山まではリフトを2基乗り継げば到達出来ます。
今回全く展望も得られず、人もいないというのに、動いていました。
私はリフトを使っても良いのですが、
さすがにそれでは山に登ったとも言いにくいので、
スキー場のゲレンデを登って山頂に向かいました。
途中レストランなどの施設もあったのですが、閉まっていました。
リフトに沿って登っていったのですが、
本当に五里霧中の状態(3m先も見えない)で、
リフトの音はすれども、リフトの鉄柱は見えず。
一応最大傾斜方向に向かって歩いてはいたのですが。
スキーのゲレンデといっても、稜線沿いは初心者向けの緩傾斜。
自分がどこにいるのか分からない状態でした。
これがアルプスの山だったら、方向も分からず大変でした。
しかも風がかなり強く、寒くなってくるし。
どうこう歩いている内に、傾斜がより緩くなり、
リフト降り場が見えてきて、そこが蓬莱山山頂。標高1178m。
地図のコースタイムでは40分のところ20分で登ってしまった。
そんなに急いだつもりはなかったのだが、全くゴールが見えなかったのと、
ゲレンデを直登したためであろうか?
●蓬莱山頂にて
山頂は真っ平らで、一等三角点があり、そこで記念写真を撮る。
他にケルンや方向盤などがあったが、霧の中では活用出来ない。
方向盤を見ると、白山、伊吹山、武奈ヶ岳などが見えるらしい。
それから、「山の神休憩所」という山小屋のマークが、
エイリアマップ載っていたが、
五里霧中の山頂広場をうろついていたら、建物らしきものが見えてきた。
中に入って見ると避難小屋的に使えそうな休憩施設であるが、
中に大きな神社が祭られていた。
実は、打見山山頂のホテルの中にも別棟で大きな神社が祭られてあり、
何となく同じような雰囲気であった。これは比良山系の神社の特徴なのだろうか?
シャツが汗で濡れていたし、風が強くて止まっていると寒かったので、
余り休まずに、比良山系で最も高所にある池の小女郎ヶ池に向かった。
●小女郎ヶ池
ここからはクマザサの中の道であるが、登山道は露出しているので、
どんな濃い霧の中でも道を見失うことはない。
ただし土や露岩が出ているので、ビジネス革靴であることもあり、
結構慎重に下っていった。ただし、この靴は東京勤務時の冬に買ったもので、
雪でスリップしないようにそこにギザギザが付いているので、
ウォーキングシューズほどではないが、そんなには滑らない。
最初のやや急な坂を下りた後は、ほとんどアップダウンのない稜線歩き。
山の本を読む限りでは、小女郎ヶ池周辺はクマザサの中の素晴らしい景観らしい
が、小さな池なのに対岸も見えないほどの白霧の中。
ただ、人っ子一人いないようなところなので、心落ち着く逍遙が楽しめた。
人の気配が無さ過ぎて、逆に怖いくらいだったかもしれない。
小女郎ヶ池に午後2時過ぎにいたので、ここから稜線沿いに歩けば、
約2時間の歩行時間で山麓まで下山することが出来る。
そうしたら午後4時には下山出来るし、結構充実した山行になると思ったが、
何せ帰りのゴンドラチケットも買ってしまっている。
今のところはビジネス革靴でも問題なく歩けたが、
今後傾斜が急になった時に大丈夫かどうかは分からないし、
天気もより悪化する可能性もあったので、元来た道を戻るしかないと思った。
●下山後
打見山のゴンドラ乗り場には午後3時過ぎくらいには着いたが、
バレイ発の最終バスは16:47だったので、だいぶ時間があった。
ホテル「びわ湖アルプス山荘」の展望風呂「虹の湯」で日帰り入浴が出来る
と看板に書いてあったので行ってみたが、日帰り入浴は午後3時までであった。
残念、結局今回は山行後の入浴は出来なかった。
1本前の16:02発のバスがあったので、
ゴンドラ駅のレストハウスでカフェオレを飲んで暖を取り、
1本早いバスに間に合うように、ゴンドラで降りた。
ゴンドラでしばらく降りると白い霧が消え、琵琶湖の景色が鳥瞰出来た。
下界は晴れていたようである。返す返すも残念。
京都駅に着くくらいから雨が本格的に降り出してきた。
京都から新幹線に乗り、広島に着いたのは午後8時過ぎであった。