中国名山・五岳之首—東岳泰山 2002年6月21日


            山頂付近360度大展望

    経  緯:北京訪問中,土日を利用して泰山に登りました。
    メンバー:フリッシュ・他1名。
    費  用:0円(車内2泊したため,節約した2泊分のホテル代で旅費をカーバした)。

6/20 金曜日,晴

21:30 馬さんが徳勝門外の自宅から研究所の車に乗って,途中の華北大酒店で雷を拾って北京火車站(前門にある旧駅,中国語では列車を“火車”と呼び,その駅を“火車站”と呼ぶ)に向った。途中,若干渋滞があったが25分程度で駅に着いた。

22:30 日照(山東省東海岸にある都市,観光地でもある)行きの特別快速列車に乗った。寝台の個室に入ると乗務員がやって来て乗車手続きを済ませた。手続きというのは乗車券を乗務員に渡しその変わりに寝台カードを貰うことだけ。しかし,場合によって、電車犯罪防止するために身分証を見せ登録することもある。“軟臥”タイプ寝台(2段ベッド2つある4人個室)なので,快適に寝ることが出来たが,馬さんの方はそうではなかったみたい。5時半に乗務員に起こされ,寝台カードを返却し切符と引き換えした。後30分程度で途中下車駅“泰山火車站”に着くといわれた。

北京駅->泰山火車站の運賃:“軟臥”寝台 220(上段)-240(下段)元(約:4千円)

6/21 土曜日,晴→雨

06:10 泰山市泰山火車站に着いた。泰山市の旧名は泰安市で,駅も泰安火車站であった。駅及び市内のあちこちに“泰安”という看板がまだたくさん残っている。駅を出るとすぐタクシーを拾って,紅門まで送ってもらった。タクシー代は10元(必要ないかもしれないが、乗る前に値段を確認した)。紅門の前には岱Miao(“广”の下に“由”,寺の意味)があるが,今回はとばした。駅から岱Miaoは1.5km程度,岱Miaoから紅門は1kmしかないので,健脚者には駅から歩く方法を薦めたい。

06:30 紅門に着き,さっそく登山開始した。最初に目にしたのは“一天門”,ここからは天国への道であることを意味する。天の国も皇帝(玉皇)に支配され、その皇帝の住み・勤務場所は山頂にあるから,泰山の山頂は玉皇頂と呼ばれる。玉皇頂まで行くために多数の“門”を通らなければいけない。 “一天門”のほか,主な門は順番に“中天門”,“龍門”,“南天門”などがある。立派な城門のようなもの(例えば,南天門)もあれば、簡単なとりでのようなもの(例えば,一天門)もある。 “一天門”を通ると天階という門に入る。天の国に上る階段の始りを意味する。この門に入門するためには,門票(入場券)が必要(一枚5元か10元)である。しかし、地元の人々は早朝のトレーリングのため自由に出入りができるらしい。既にたくさんの人が出入りし、走ったり太極拳をやったりしていた。また,たくさんの人は大きな水筒を持っていた。泰山の足元の泉の水を吸いで家に持ち帰るみたい。この泉の水でお茶を入れると特に美味しいという説がある。

岱Miaoから山頂の玉皇頂までの山道は片道10kmあり、全て花崗岩あるいは石灰岩の階段できれいに整備されている(階段の数は約7000段)。全体にわたって5-10人が並列で歩ける広さで,毎年の重陽節に国際登山祭が開催され千人を越える登山者が一斉に走って登ることができる。
 東岳泰山は五岳の首とされているが,山としての魅力はそれ程ないと思う。高さにしては1545メートルしかないので,決して高いとは言えない。また、山の姿と景色も他の四岳に勝っていない。しかし,他の山には及ばない歴史と文化の深みがあることは泰山の特徴である。秦の始皇帝をはじめ歴代の帝王たちはよく泰山を登って天を祭り“国泰民安”を祈った。また,孔子の故郷に近いおかげで,多数の文人墨客に愛され,数多くの文化遺産と伝説が残された。登山道の両側の花崗岩岩壁に名句名詩の彫刻が並んで、その数は2200箇所に達するから“中国摩崖刻石博物館”と呼ばれて賛美されている。 1987年に世界文化・自然二重遺産として認定されている。刻石を鑑賞しながら登りたい.登山より散歩の調子で階段ひとつひとつを拾って登る。刻石の多くは山河を賛美する言葉であるが、人生・歴史・自然の真諦を語る言葉も数多くある。

07:40 女児茶荘に到着し,ここで一休みした。泰山の土産“竹筒茶”を飲んだ(一杯2元=30円)。ウロン茶のようなものを竹筒に入れて飲む。ちょっと妙な味がするが、伝統のあるお茶なので全部飲んでしまった。

8:20 “中天門”に到着した。この辺は泰山の中腹であり(5合目相当),山頂の方向に見上げると“18盤”といわれる急坂とその上にある“南天門”がかすかに見え,人間の世と上界の中間にいる感じがする。中天門から雲歩橋までの約1kmには急な坂が無く、刻石が集中している。

9:00 雲歩橋に到着した。山側には滝が流れている。水量が少ないが、花崗岩の斜面に沿って落ちる景観は素晴らしい。雲歩橋から南天門までは急坂の連続である。雲歩橋をわたると飛来石、迎客松など名所を経て“開山”という門に着く。“開山”から“中天門”までは“18盤”という急階段の折れ曲がり道である。胡瓜、トマトなど果物を山泉で冷やして売っている地元の商売屋がいったため、胡瓜1本とトマト1個を買って食べた後“18盤”に足を踏み出した。“18盤”とは三つの“18”からなる。 “開山”から“龍門”は“慢18”、“龍門”から“昇仙坊”は“不緊不慢また18”、“昇仙坊”から “南天門”は“緊18”といわれ,坂の勾配が違う。同行している馬さんは50階毎で一回休みしないと歩けなくなった。わたしは“緊18”だけでも一気に登りたいので“昇仙坊”から先行することにした。

10:30 汗いっぱいで“南天門”に辿り着いた。この門に入るともはや天の国である。南天門の下に立つと風が強くて肌寒い感じした。汗も一気に飛ばされて非常に爽快な気持ちだった。待つ時間10数分で馬さんが苦しそうな顔をしてやってきた。“南天門”を通ると“天街”という緩やかな道1kmある。北側にはレストラン、土産店、ホテルなどが立ち並んでいる。南側は崖であり展望が非常によく、上界にいる感じ。高さからいうと天街は9合目に相当する。

11:20 玉皇頂に着いた。360度の大展望が素晴らしい。思わず唐の大詩人杜甫の名句 “会当臨絶頂,一覧衆山小”が頭に浮かび出した。ここから東海にある“仙島(日本)”がよく見られる昔話があるが…

12:30 下山開始。

13:10 中天門に到着。レストランで昼食した後下山バスに乗って岱安市に向った。 20-30分程度で天外村のバス停に到着した。ここから泰山火車站までは約2kmの距離しかないので歩いていくことにした。済南にいる友人に会って次の日(日曜日)に郊外の霊岩寺に行く予定が立っていたので列車で済南に行くことになったが,そのまま孔子の故郷を 尋ね(バスかタクシで行く),夜の列車を乗って朝の5時過ぎに北京に着くこともできる。

14:39 泰山火車站・済南行きの列車に乗った。泰山市から済南市までの距離は数十kmしかない。運賃は一人十数元だった。

15:40 済南火車站に到着。馬さんの生徒である蒋氏が迎えに来た。 夕食は蒋氏の招待で林業務処長が同席。料理は海鮮(日本の方に進め出来ないが中国では海鮮料理は高級)。

 6/22 日曜日,晴れ

午前中は蒋さんと一緒に郊外の霊岩寺観光した。午後は済南市の広場とBao突泉に案内された。夕食はやはり蒋氏の招待で重慶火鍋を食べた。

23:00 北京行きの列車に乗った。今度,“硬”寝台だったが,良く寝ることは出来た。

“硬”寝台のベッドの広さは“軟”寝台と殆ど変わらないが,三段に成っている。また個室ではなくなる。ちなみに,済南駅->北京駅の運賃:170(下段)元

6.23 月曜日,晴

5:30 北京駅に到着。


Xinglin Lei, 2002/8