三倉岳(標高701.8m)・瓦小屋山(標高663.8m)縦走報告
(by コアラ)
3月9日にアミューズ・トラベルのツアーで三倉岳に登ってきました。
広島県の大竹市にある、県西部の山です。
今回は隣の瓦小屋山までの縦走コースで、
アミューズ・トラベルの謝恩(サンキュー)企画ということで、
3月9日(39)に三倉(みくら:39ら)岳で、3900円という、
お得な企画だったので、注目していました。
人気企画で満員だったのですが、
キャンセルがでたのでどうかという連絡が前日あり、
登りたい山でもあり、天気も良かったので、参加してしまいました。
lead82さんと一緒に登る山の候補の一つだったのですが、
先に登ってしまって申し訳ありません。
実はその日は広島山の会で経小屋山(標高596.6m)に登る予定があり、
山に行ける様日程を空けていたので、急遽経小屋山を取りやめて、
三倉岳山行にしました。
(広島山の会からは、日帰りで電車利用だから事前登録は不必要で、
当日いきなり駅集合でかまわないと言われていたので、
前日担当者に参加取りやめを伝えました。)
三倉岳は広島の岩登り発祥の地の山で、広島の岳人には人気があります。
(他に呉の天応烏帽子岩山と安佐北区の鎌倉寺山が発祥の地と言われている)
花崗岩の3つの岩峰が極めて特徴的な山容で、山の名前の由来にもなっています。
東から上ノ岳(朝日岳)、中ノ岳、下ノ岳(夕陽岳)と呼ばれており、
それぞれ、福、徳、孝の現世利益の3神を表しているとされています。
午前8:00に広島駅の新幹線口に集合。
大型バスが満員で、総勢で40人を超えるパーティでした。
会社側からは、KKさんという男性のベテラン山岳ガイド(社員ではない)と
YNさんという会社の若い女性添乗員
(学生時代に山岳部に入っていたような感じの山のエキスパートではあります)、
それに広島大のワンゲル部の男性2人がバイトで入っていました。
今回の参加者は、例によって中高年ばかりで、私よりは年上ばかりでした。
三倉岳は有名なだけあって、大半の方が登頂済みのようで、
今回は瓦小屋山への縦走コースだから参加した人が多いみたいです。
謝恩(サンキュー)企画で安いからというものあるようですが。
バスは高速を使わずに大竹市まで向かい、
9時半くらいには、登山口の三倉平駐車場に到着。
三倉岳は広島国体の登攀競技の会場になったことがあるのですが、
その時に三倉岳が県立自然公園に指定されていることから、
三倉岳の岩場を競技に使うことが自然保護の視点から問題になり、
結局人工壁を使って競技は行われた。
駐車場には、その時の登攀競技の会場になった人工壁があります。
●コースタイム
三倉平駐車場10:05−三倉岳休憩所10:10〜15
−Aコース分岐10:30−5合目(胴乱岩)10:35〜40
−上ノ岳・中ノ岳鞍部11:10〜20−中ノ岳11:45〜12:00
−下ノ岳(昼食)12:20〜55−9合目小屋13:05
−三倉岳(三角点)13:10〜15−瓦小屋山14:10〜30
−630mピーク手前14:45−大栗林15:50
三倉岳に登るルートとしてはABCのコースがある。
Aコースは3つの岩峰を経由しないで山頂(三角点峰)に行くルート。
Bコースは3つの岩峰を経由して山頂(三角点峰)に行くルート。
Cコースは瓦小屋山からの縦走ルートです。
通常は鎖場が登りになるように、Bコースで登ってAコースで下山する
周回ルートを取る場合が多いようです。
今回は、Bコースで登って、Cコースの瓦小屋山縦走コースで下山しました。
●登山路
準備運動をした後に、駐車場から車道の終点の三倉岳休憩所まで歩きます。
KKさんは先にここまで入っていました。休憩所はログハウスの綺麗な建物。
この周辺はキャンプ場になっており、休憩所はその受付と、
三倉岳のビジターセンター的な情報発信基地になっているようです。
中を見学したかったのですが、集団登山だったのでそれは出来ませんでした。
ただし、KKさんがそこで入手した資料(ガイドマップ)を
参加者に配ってくれました。
ガイドのKKさんが先頭で、YNさんと学生1人が途中に入り、
もう1人の学生がしんがりです。
私は例によって、一番最後(学生さんの前)に入りました。
5合目で1回目の休憩があったのですが、
人数が多いから最後尾の私は登山道の途中で休む羽目に。
後で出発する時になって、胴乱岩があったことに気付くのですが、
見学出来ず残念。
結構階段の急な登りだったので、遅れる人が出ましたが、
自分はこういう登りは余り苦にならないし、ペース自体が遅かったので、
そんなに汗もかかずに登っていきました。
しかしながら、天気で太陽が出ているのに、雪雲がちょうどこのエリアを通った
ためか、急に雪が降り始め、しかも積もるくらいの勢いです。
2回目の休憩は、上ノ岳と中ノ岳の鞍部。ここでも自分は登山道の途中。
ちょうどこの休憩タイムが、一番雪が酷かったようです。
上ノ岳はこの鞍部からピストンしないと登れません。
自分は三倉岳の3つのピーク全てに登るものと思っていたのですが、
先頭のKKさんは、上ノ岳には登らずにそのまま中ノ岳に向かう。
確かに人数も多いので、上ノ岳に登るとスペースもないから大変かもしれないし、
上ノ岳からは展望も無いらしいので、
今回のパーティで登らなかったのは、ある意味正しい判断かもしれない。
しかしながら、自分は登りたかった。
5分もあればピストン出来るので、
休憩時間中に登ってくれば良かったと思った。
しかも、中ノ岳に登るのに厳しい鎖場があり、先頭が登るのに苦労しており、
結果としては15分くらいは下で止まって待つ羽目になった。
これならば、ますます上ノ岳に登ってくれば良かったと思った。
しかしながら、集団登山では自分だけが勝手な行動を取るわけにもいかず、
なかなかこういう時にどう行動すべきか、難しいものである。
我々のパーティの後ろに、他のパーティの行列待ちが出来てしまっていた。
●三倉岳山頂付近
中ノ岳の鎖場は、自分にとっても結構な難所であった。
これは途中で何度も止まってしまう事にも原因が有ったように思う。
安定性の悪い位置で、前が進むのを待つのは、結構辛いものである。
中ノ岳の山頂は余り広くないので、希望者だけが登ることにした。
自分はもちろん登ったが、広島では有名な山だけあって、
結構登ったことがある方が多く、特に女性の方で登らない方も多かった。
このあたりになると、天候も晴れてきて、岩山の尖った先端のピークだけあって、
360度の大展望で、隣の上ノ岳や下ノ岳の他、周辺の山々が展望出来る。
北の方に目を向けると、尖った特徴ある山が見える。
1年前に登った大峰山だろうか?
中ノ岳のピークの乗り降りは、学生さんがサポートして1人1人下ろすので、
かなり時間がかかってしまい、自分としては予想以上に長くピークに滞在した。
その間、周辺の景観を充分堪能出来たので良かった。
中ノ岳から一旦鞍部に下りて、今度は下ノ岳に登り返すが、
ここにも鎖場があり、どちらかというと、こちらの方がきつい鎖場だった。
確かに落っこちたらタダでは済まされないが、特段問題なくクリア出来た。
下ノ岳は中ノ岳以上に展望が良く、北西方面には中ノ岳からは見えなかった、
吉和冠山とか羅漢山などの西中国山地の特徴ある山容を見ることが出来る。
ただし直ぐ前の、三倉岳の三角点峰がちょっと邪魔しているが。
下ノ岳の山頂は若干広いので、ここで昼食になった。
天候はよいが、結構風が強く、寒かった。
私はコンビニ弁当だったが、冷え切っていて美味くない。
荷物が増えるが、コンロを持ってきて、ウドンとかラーメンにすれば良かった。
私は一番標高の高い地点付近で食事をしていたが、
それほど展望が良いわけでもない。
三角点もないし、標識もない。記念写真を撮る時に困った。
食事の後、山頂付近をプラプラすると、少し下がったところに大岩があり、
この周辺でバイトの学生やら、他のやや若い山慣れしたパーティらが食べていた。
ここの方がずうっと展望が良い。
皆が食事を済ませてから、下山開始。
9合目小屋(本当に壁のない掘っ建て小屋)のところでAコースが分岐し、
普通のパーティだと三角点のある山頂には行かずにここで下山するらしいが、
我々は瓦小屋山に縦走するので、山頂(三角点峰)に向かった。
本当に山頂は狭く、展望も無い。三角点があるだけである。
確かにこれだと、来る人が少ないのも理解出来る。
自分は三角点の写真を撮った。
●瓦小屋山縦走・下山路
この後、瓦小屋山に向かって縦走を開始する。
この間、最後尾の学生バイト君と色々山の話をする。
日本アルプスとかに行くのは、年1回くらいで、大半は中国地方の山らしい。
あと遠くに行くとしたら、四国か九州らしい。
その方面のお勧めは、九重、祖母・傾、大崩あたりらしい。
(この辺のお勧めは、大体皆さん一致するようです。)
岩とか雪山とかのテクニカルは余りやらず(もちろん経験はあるが)、
藪山歩きと沢歩きとワカンでの雪山歩きがメインらしい。
県内のおすすめの山とかを、色々教えてもらい、楽しかった。
特に広島県西部のお勧めの藪山情報は、結構参考になった。
彼も三倉岳には登ったことはあるが、このコースは始めてとの事であった。
ハイド代を稼いで山に登れるので、結構羨ましい仕事だと思った。
職員の方は、事故に対する責任とかあるし、下見とかにも来ないといけないから、
色々大変だと思うが。何しろ、土日に休めないのが辛いですね。
途中、灯籠岩などの展望の良い箇所を通過するが、
全然止まらず素通りしてしまう。誠に残念。
三倉岳から約1時間で、瓦小屋山山頂に到着。ここで休憩。
やはり最後尾の私は、本当の山頂で休憩出来ない。
しかし、少し下の岩場からの展望が素晴らしく良いので、
バイトの学生さんらとここで休憩していた。
10分くらいの休憩で出発となったが、
先頭付近が山頂直下の岩場の通過に苦労しているようで、
最後尾の私が出発出来たのはその10分後くらい。
従って、瓦小屋山の山頂には20分くらいのんびり出来たので、
その意味では人が少なくなってからの山頂を満喫出来、大変良かった。
山頂からは、山口県東部の西中国山地の山並みの展望が素晴らしかった。
その後縦走が続き、630mピークの手前でVターンして、下山を開始した。
地理院の地図では三角点のある山が瓦小屋山となっているが、
地元ではこの630mピークを瓦小屋山と呼んでいるらしく、
山頂にたくさんの登頂記念標識がぶら下がっているらしい。
自分もそのピークに登って、記念写真を撮るつもりだった。
これまた、集団登山だったために登れなかった。はたまた残念である。
この後はひたすら展望のない急坂を1時間ほど下りて、大栗林の集落に下山した。
ここにバスが待っており、整理運動をして、バスに乗り込んだ。
今回のツアーは下山後の温泉は付いていなかった。
バスに乗って直ぐに、マロンの里交流館という施設で、トイレ休憩があった。
ここで、買い物をしたり、ビールを飲んだりする人もいた。
ここでは200円でシャワーが浴びれたので、
自分は汗くさいこともあったし、着替えも持ってきていたので、
ここでシャワーを浴びてさっぱりして、自宅に戻った。
広島駅には6時半頃到着。結構早い時間に家に帰れた。
集団登山であったために寄れなかったところがあったりして、
その意味では残念な部分もあったが、スタッフも良くしてくれたし、
何しろ山そのものと天候が良かったので、充分楽しめる山行であった。
●後日談
山から帰ってきてから改めてガイドブック等を読み返してみると、
三倉岳には様々な岩場の登攀ルートがあるのですが、
それらのルートを初制覇した人は、大半が「広島山の会」の方々のようです。
「広島山の会」は今自分が所属している会です。
今はそう大した活動はしていないのですが(中高年のお気軽山行が多い)、
昔は凄い活動をしていたんだなあと、改めて再認識しました。