広島県東部(福山市周辺)の山のピークハント報告(by コアラ)

3月20日に出張で府中に行ったので、
地形図の現地調査(主に車道と徒歩道の確認)も兼ね、
広島県東部の山に登ってみました。

今回の出張主目的は市長さんとの打ち合わせですから、
出張の格好は背広に革靴。全く山の格好ではありません。
また、広島県東部のガイドブックに紹介されているような山は、
ほとんどが車道が山頂付近まで通っています。
ですから、基本的には車で移動し、可能なところをピークハントしました。
天候は快晴で、春後半のような陽気。展望も良かったです。


◎沼南アルプス 福山市瀬戸町、水呑町など 2.5万分1地形図「福山西部」
彦山(標高430.1m)葛城山(標高420m)熊ヶ峰(標高438.0m)

沼隈半島の東側、福山市洗谷から鞆の浦にかけて海岸からそそり立つ、
彦山−葛城山−熊ヶ峰などの連山を沼南アルプスと呼んでいる。
3座を縦走すると4時間半くらいのコースタイム。
鞆の浦まで完全縦走すると、全長18kmの健脚コースである。
昭和48年に福山グリーンライン(2輪車は通行不可)が出来、
展望のスカイラインをドライブ出来る。
今回はグリーンラインを車で上がり、3座をピークハントした。

北から彦山、葛城山、熊ヶ峰の順でピークハントしようと考えたが、
彦山の登り口を見逃してしまい、葛城山と熊ヶ峰の鞍部まで来てしまったので、
まずは鞍部の路肩スペースに車を止め、それぞれをピストンした。
ちょっと滑りやすい土道を10分弱登ると、葛城山の山頂。
山頂には神社が鎮座してあり、西側の展望が素晴らしく良い。
松永湾、その向こうにしまなみ海道の高見山(向島)、因島、観音山(生口島)
などが影絵のように浮かんでいる。
空気が澄んでいると、野呂山や四国連山も見えるらしい。
鞍部に戻って車道を渡り、反対側の土道を上がると、
10分ほどで沼南アルプス最高峰の熊ヶ峰の山頂に着く。
三角点はあるが、樹木のため展望は無い。

車に戻って、彦山の登山口に向かう。
地形図では徒歩道になっていたが、実際にはダートの車道になっていた。
地形図の徒歩道を軽車道に変更しないといけない。
ただし、チェーンが張ってあって、一般車は入れない。
山頂には電波塔が乱立しているので、その管理道路のようだ。
路肩のスペースに車を止めて、歩こうとしていたら、
自衛隊の車がやってきて、チェーンを外して入っていった。
こんなところに背広を着てカメラを持った男が歩いているのだから、
自衛隊員は不思議(不審)に思ったかもしれない。
ついでに自分の車もその車道に入れてもらうか、
または自衛隊の車に乗っけてもらったら楽だなと思ったが、
(時間の効率も良くなるし)
さすがにそれは頼まず、車道を15分ほど歩いて山頂に到着した。
一番目立つ電波塔は自衛隊のレーダ施設のようだ。
その背後にあるピークが山頂で、一等三角点がある。
樹木に覆われているが、北側は開けており、
福山市街やその北方の山々の展望が素晴らしい。

沼南アルプスの縦走路はガイドブックなどにも紹介されているが、
地形図にはグリーンラインからそれぞれのピークまでの道が、
徒歩道として記載されている程度である。
実際にそれ以外の道はやや荒れており、赤いテープなどで辿るようになっている。
遊歩道的なはっきりした徒歩道でなければ、
あえて地形図には記載しなくても良いだろう。
今は冬だからわかりやすいが、夏になるともっと藪がうるさくなるであろう。


◎臼木山(標高315m) 沼隈郡沼隈町 2.5万分1地形図「常石」
沼南アルプスの3座をピークハントした後、車でグリーンラインを南下した。
しばらく行くと、小動物園と遊戯施設のあるファミリーランド。
駐車場もあり、母子連れが何組か見受けられた。
この日は天候が素晴らしく良かったので、
子供連れで来ると、大変良さそうなところである。

その後、中国美術のコレクションで有名な中川美術館の先の林道に入って、
中国新聞社の「ひろしま百山」に選ばれている臼木山に向かった。
林道の路肩に車を止め、山頂まで歩いて数分である。
臼木山の周辺は公園的に整備されている(未だ整備途中といった感じ)。
山頂はやや荒れていて、展望も今一つ。山頂の看板とかも無い。
直ぐ近くの山桃の丘(標高309m)にも登ってみた。
こちらは360度の展望で、松永湾やしまなみ海道の展望が素晴らしい。
公園の整備が進んだら、地形図の修正が必要かもしれない。

その後林道をグリーンラインまで戻る。しばらく南下すると、後山展望台に出る。
ここからも360度の展望が広がり、穏やかな瀬戸内海の景観が素晴らしい。
この日の午前では、ここが最も展望が良かった。
その下の芝生の広場では、子供(カナデより少しくらい上くらい)1人と
若い女性3人が、ゴザを敷いて、滑り台的に遊んでいた。
自分が近くを通ると女性達から挨拶されたが、
どうやら若い女性は保母さんらしい(1人は母親かもしれないが)。
彼女らは駐車場に止めてあった○○園と書いてあったワゴン車で帰っていったが、
子供1人に大人3人だなんて、何となく奇異に感じた。
もし保育園とか託児施設だったら、これで採算が取れるのだろうか?
この後、車でグリーンラインの終点まで南下し、
潮待ちの港街、鞆の浦で少し休んでから、福山市経由で府中市に向かった。


◎亀ヶ岳(標高539.4m) 府中市本山町 2.5万分1地形図「木野山」
亀ヶ岳は、府中市の北方に聳える山である。
ガイドブックなどでは、府中市街からの周回コース(約3時間半)
が紹介されているが、山頂直下の七ツ池まで車道が延びているので、
ここまで車で上がって、山頂をピストンすることにした。
七ツ池は江戸時代の灌漑用水で、今は府中市民の憩いの森になっている。

地形図では軽車道ではなく、1車の車道になっているのだが、
結構クネクネした狭い道で、飛ばせないので思わぬ時間が食ってしまった。
五番池の奥の方に憩いの森キャンプ場があり、
そこに駐車することが可能であったのだが、
二番池のところで工事をしており、
ダンプが何台も止まっているので先に進めない。
仕方がないので、一番池と二番池の間の路肩に車を止め、
池の対岸に渡って、亀ヶ岳に登ることにした。
(実は工事で通行止めになっていたのではなく、
たまたまその時にダンプがいただけで、帰る時には通行出来たのでした。)

七ツ池の周りは舗装された散策路が新しく整備されていて、
現在行われている工事は、その一環であるようでした。
ガイドブックには山の北側から登るようになっていたのですが、
山の南の方に散策路が延びていたので、そちらに歩いていきました。
しかしながら、尾根の突端に新しく展望台が出来ており(未だ工事中でした)、
散策路はそこで行き止まりになっていました。
その展望台からの展望は、府中市街が一望に俯瞰する事が出来、
それは素晴らしいものでした。

一旦元の道を戻り、七ツ池の東側に新しく出来ている散策路を通って、
亀ヶ岳の北側に回り込むようにして歩いていきました。
この辺の新しい散策路は、新しく地形図に書き込む必要がありそうです。
やがて散策路は七ツ池で最大の面積を誇る五番池の畔で池から離れ、
地形図には記載されている、青目寺に下りる軽車道に合流します。
その付近に山の北側から亀ヶ岳に登る踏み分け道があり、
赤いテープがその位置を示してくれます。
地形図にはその道(徒歩道)は記載されていませんが、
あえて書く必要は無いかもしれないくらいの道です。

そこから5分くらいの登りで亀ヶ岳の山頂に着きましたが、
三角点はあるものの、樹林に覆われて全く展望はありません。
分岐点まで戻って軽車道に合流し、
そこから青目寺東御堂跡の案内に従って、山道を歩きます。
10分程度で到着します。
中島篤巳氏著の「広島県百名山」(葦書房)では、
亀ヶ岳が古代朝鮮式山城「常城」であった可能性を指摘し、
東御堂跡とされる礎石は、古代山城の望楼跡とも考えられるとしています。

東御堂跡からは同じ道を軽車道まで戻って、
あとは五番池に沿って散策路を歩き、
対岸の憩いの森の駐車場エリアに到達します。
ここからは、それぞれの池を散策しながら、
車の止めてあるところまで車道を歩きました。

この一帯は、七ツ池が府中市の数少ない観光地となっており、
亀ヶ岳は全く展望がないからほとんど登る人はいないようです。
元々は20分くらいで亀ヶ岳をピストンするつもりでしたが、
今回七ツ池を完全に一周してしまい、1時間以上の散策になってしまいました。
調査の効率化やピークハントする山を増やす意味では問題でしたが、
ゆっくり散策することが出来て、それはそれで良かったです。
一応、山行回数にカウントしようと思っています。

なお、後でガイドブックを見て知ったのですが、
七ツ池を挟んで亀ヶ岳の対岸に、中世の山城跡である幡立山城跡があります。
その一角に幡立岩があり、ここに上がると、府中市はもちろん、
福山市街地や沿岸の工業地帯、瀬戸内海、四国の山々まで見渡せるとか。
つくづく登らなくて、失敗しました。
車を止めたところから、5分くらいで登れたみたいです。


◎蛇円山(標高545.8m) 福山市駅家町 2.5万分1地形図「金丸」
福山市の北部に聳え、富士に似た姿なので備後富士とも呼ばれる。
頂上には雨の神様、高竃(たかおかみ)神社が祀られ、
休日はパラグライダーの愛好者で賑わっているらしい。
広電観光やアミューズトラベルなどの登山ツアーなどでも企画されたことがあり、
しかも満員なったりしていたから、結構広島では人気がある山のようで、
私も一度登りたいと思っていた県東部の山であった。

ガイドブックに良く紹介されている登山ルートは、
山の東麓の服部上本郷の集落から山の裏の方を通って登る
水量の多い沢沿いの道である。
今回は車だったので、山の南西の上安井から林道に入り、
山頂直下の展望広場まで車で乗り付けた。

途中で道を間違えてしまい、地形図に載っていない林道に入ってしまったが、
道も非常に狭くなっていき、どうも車では上がれ無さそうな悪路だ。
ガイドブックには山頂直下の展望広場まで、
ドライブ客やパラグライダー客が良く来ると書いてあったので、
さすがにこの道は違うと思い、
切り返しの出来るところで戻ろうと思って先を進んでいたら、
車がこれ以上進めるような状況でなくなった。
仕方が無く、バックのまま狭い片側が崖の林道を
500m近く戻る羽目になってしまい、
大変な精神的苦痛と時間のロスになってしまった。
結局地図に載っている林道はかなり良い道で、
地形図では軽車道で表示されていたが、一車の車道で表示しても良いと思った。
(少なくとも、七ツ池に上がる車道よりは広かったと思う。)

山頂直下の展望広場は大変広く、東から南方面の展望が開けている。
福山の街並みが綺麗に俯瞰出来、近くには服部大池の湖面が光って見える。
東の彼方には、県境や岡山県の山々がかすんで連なっている。
広場には売店もあるが、平日だったためかやっていなかった。
広場には、1人でドライブやツーリングに来ている人が和んでいた。
パラグライダーをしに来ている人はいなかった。

ここから5分ほど階段の山道を上がると、山頂に着く。
山頂も展望が良いが、下の広場の方が格段に良い。
立派な高竃神社があり、その背後に三角点が設置されていた。
展望をゆっくり眺めながら、まどろんでいたかったが、
もう午後5時を過ぎてしまっていたので、先を急ぐことにした。
下りは車道を服部大池の方に下りた。
この山は上がってみて、得したなと思える山であった。


◎筆影山(標高314m) 三原市須波町 2.5万分1地形図「三原」
午後8時までに三原駅に戻れば良かったので、
せっかくだから三原市の夜景でも見ようと、筆影山に車で上ってみました。
筆影山と葉田竜王山(標高445.0m)は、
三原市街地から沼田川を挟んで南側にある好展望の山で、
桜の名所としても有名です。
山頂まで車道が延びています。

国道から離れて、住宅地の中の狭い道をクネクネ上がっていって、
約10分くらいで、山頂の駐車場に到着。
でもここが山頂ではなく、山頂展望台までは200mくらい歩きます。
ところが懐中電灯とかヘッドライトを持っていっていないので、
車から離れると真っ暗闇。月明かりしか頼りになりません。
ただし、山頂までの道は舗装されていたので、まあどうにかたどり着きました。
山頂から見る三原市の夜景は本当に素晴らしかったです。
桜の木もいっぱい有りましたが、まだまだ芽も出ていない感じで、
開花までにはもう少しかかりそうです。

この後、葉田竜王山にも行くつもりでしたが、夜の山道の運転は大変だし、
駐車場から山頂までも、また苦労するかもしれないので、
今回は筆影山のみでやめて、下りることにしました。
今度は花見の季節にでも来て、両方登ってみたいと思っています。