後山(うしろやま)・船木山(ふなきやま)・駒ノ尾山(こまのおやま)山行

コアラです。
12月1日(日)に岡山県最高峰の後山(標高1345m)に登りました。
後山は、山岳信教の聖地として有名で、
中腹に奈良時代に役小角(えんのおづぬ)が開基したと伝えられる
修険道の行場が有ります。
この奥の院へ行く登山道もあるのですが、女人禁制となっています。
また、奥の院で行き止まりとなっていて、後山山頂へはつながっておりません。
この奥の院を訪ねるというのも良かったのですが、
今回は岡山県最高峰に登るというのを優先しました。
岡山県側からの後山への登山道は、後山集落から船木山を経るルートになります。

前日の土曜日に鳥取地図作品展の表彰式があり出張しましたが、
その帰りが日曜日だったので、帰りがてら登ってきました。
この時縦走コースにして、船木山と駒ノ尾山にも登りました。
船木山(標高1334m)は岡山県第2位の高峰、
駒ノ尾山(標高1281m)は第3位の高峰だそうです。
第4位は、昨年7月に登頂済みの三百名山である那岐山(標高1250m)です。
というわけで、岡山県の山は第4位の高峰まで登りました。
また、都道府県最高峰は29都道府県分登ったことになります。
中国地方は5県の最高峰全部の制覇になります。

鳥取に行くには3セクの智頭急行線を通ることになりますが、
その大原駅が後山への登山口になります。
大原町は、宮本武蔵生誕の地としても有名です。
広島から鳥取に行くには、岡山から特急「いなば」を使うのですが、
1日3本しかなく、しかもかなりボロいディーゼル車両です。
この時は朝一番の大阪方面に行く「スーパーはくと」を使ったのですが、
ディーゼルとはいえ最新型の車両で、乗り心地も良く、
しかも本数も多く、同じ料金で乗れるのだから、
関西の方の人が、中国の人よりも得をしていると、
大変不条理に感じました。

出張帰りだったので、山の道具の他に仕事の道具や鞄もあり、
荷物をどうするか悩んでいたのですが、大原駅にTELしたところ、
駅にはコインロッカーは無いが、
駅前の喫茶店が預かってくれると言っていました。
その喫茶店は、御主人がタクシーの運転手ということで、
日曜日の後山に行くバスの始発が11時台と使えないこともあり、
後山バス停から後山キャンプ場まで40分の車道歩きもあったので、
タクシーでキャンプ場まで行くことにしました。

●コースタイム
後山キャンプ場8:30−合流点(案内標識)9:05〜10
−船木山9:55〜10:05−後山山頂10:20〜40
−船木山10:55−鍋ヶ谷山11:15−駒ノ尾山11:45〜12:05
−林道12:40−後山バス停13:15

●登山路(後山キャンプ場→後山山頂)
タクシーは、キャンプ場駐車場前の登山口で下ろしてくれた。
料金は約3000円。登山道は樹林帯の中の階段の山道である。
ガイドブックにはキャンプ場上からの道の方が展望が良いと有るので、
そちらを選ぶが、冬だというのに道が藪に覆われていてわかりにくい。
しかも、急な坂を上ったあと、尾根を一本越えて谷に下りていくのだが、
かなりガレタ道で、標識や赤いテープもないので良く分からない。
30分以上歩いて、ようやく駐車場から道と合流して、案内標識に到達するが、
ここからは道がはっきりしており安心する。

ここから稜線までは急な尾根道が長く続くが、わかりやすい道で安心である。
樹林帯の中の尾根道であり、展望は全くない。
稜線について東に100mほどで船木山の山頂である。
山頂とは言っても、稜線上の小ピークといった感じである。
山頂からは雄大な展望が開け、
美作富士と呼ばれる日名倉山(標高1047m)の綺麗な姿が見える。
目標の後山は直ぐ目の前にピークをもたげている。
ここから鞍部を1つ越えて、岡山県最高峰の後山山頂である。
稜線は積雪があり、気温が高いため溶けてドロドロになっており、
ズボンの裾が結構汚れてしまう。

●山頂(後山山頂→船木山経由→駒ノ尾山山頂)
山頂はそれほど広くはなく、三角点と小さな祠
(雪対策のため青ビニールが被せてあった)がある。
何故か「教雲山」という大きな標識があった。
山頂には他に人はいなかったので、その標識の前でセルフで記念撮影。
展望はそれなりに良く、県境一帯を見渡すことが出来る。
南を見ると日名倉山が目前に見え、東は兵庫県千種町の村落が脚下に望める。
北に目を転ずると、遠く兵庫・鳥取県境の氷ノ山の山塊が望め、
西に目を転ずると、先程登った船木山の向こうに、
これから登る駒ノ尾山の優美な笹原の山容を望むことが出来、
その遙か彼方には那岐山がうっすらと見える。

ここで泥除けのためスパッツをはいて、船木山に引き返し、
そのまま稜線を西に行って、駒ノ尾山を目指した。
稜線は背丈より高いネマガリダケが密生しており、
展望は全く効かないが、平坦な尾根道で非常に歩き易い。
途中でいくつか小ピークを越えるが、特に看板がないので、
どのピークが鍋ヶ谷山かはよくは分からない。

駒ノ尾山の直ぐ手前に避難小屋があり、そこから一登りで山頂。
笹山だけあって360度の展望で、しかも山頂碑やら石などが、
まるでストーン・ヘッジか日時計のように整備されている。
山頂で昼を食べながら、展望を楽しんでいると、
集団山行のパーティが登ってきた。
今回会った唯一のパーティだが、話をしてみると姫神バスの山岳部だとか。
どうやら、兵庫県側から後山に登ってきて、
後山からは自分と同じルートで来たらしい。

●下山(駒ノ尾山山頂→後山バス停)
ここで下山ルートについて考えた。
ガイドブックでは、このまま稜線を西に行って、
智頭急行のあわくら温泉駅に出るコースが紹介されている。
これだと下山後に粟倉温泉に入れるが、トータルで6時間半強のコースタイムで、
結構しんどい上に、あわくら温泉駅は各駅しか止まらない。
しかも、荷物は大原駅に預けてあるので、一旦下車して引き取るとなると、
大原駅で次の電車を1時間以上待たないといけない。
駒ノ尾山から粟倉温泉までコースタイムで2時間半なので、2時半頃下山で、
あわくら温泉駅4時か5時台発、大原駅は5時か6時台発。
結構遅い時間になってしまう。
一方、南の尾根を下りると、駒ノ旺山荘を経由して後山の集落に下山出来る。
午後1時半に後山発のバスがある。
どのくらい時間がかかるかは不明だが、もしバスに乗り遅れたら、
後山にも人工温泉(愛の村パーク)があるようだし、
夕方まで寺社仏閣巡り(道仙寺、護摩堂(女人堂)など)をしてもよいので、
歩行時間の短い南の尾根を下りることにした。

道はそれほど悪い道ではなく、急傾斜ではあるが、どんどん高度を下げていった。
かなり良いペースで下山してしまい、林道に飛び出した。
どうやら地図に無い林道のようで、工事をしていて地形が変えられていて、
ここから先の山道を捜したが、駒ノ旺山荘まで出る山道が分からない。
仕方が無く、林道をそのまま下りることにした。
駒ノ旺山荘は料理が有名な宿のようで、一度外観を見ておきたいと思ったのだが。
駒ノ旺山荘への車道とは、谷1つ隔てた西側の車道のようで、結果的に遠回りに。
それでも、午後1時頃には地図にある林道東粟倉西粟倉線に出て、一安心。

林道沿いにはオルゴール館等があったが、時間がなかったし、
また山のむさい格好をした男一人でオルゴール館に入るのも気が引けたので、
そのまま素通りして、後山集落にむかった。
一応バスの時刻が気になったので、先にバス亭まで行って時刻を確認。
予定通り午後1時半発のバスで、15分ほど時間があったが、
この時間では護摩堂などを見学する時間もないので諦めた。

●下山後の温泉(宮本武蔵温泉)
2時前には大原駅に着き、喫茶店で荷物を引き取って、
電車の時間までミックスジュースを頼んでくつろいだ。
粟倉温泉に行くには逆方向なので効率が悪く、
1つ山陽本線側の宮本武蔵駅で下車して、宮本武蔵温泉に入ることにした。
なお、智頭急行の普通列車は、上郡−大原間の列車は1時間に1本程度あるが、
大原止まりの列車がそれなりの数あるので、
あわくら温泉駅の方へ行く大原−智頭間の列車の本数は少ないのだ。
宮本武蔵温泉は昨年の那岐山山行の帰りに日帰り入浴したことがあるが、
結構お気に入りの温泉でもあったので、そこに行くことにした。
しかしこれが良くなかった。

なお、大原駅でポスターを見て知ったのだが、
大原町では来年の大河ドラマ宮本武蔵の生誕の地を観光的に売り出すために、
大原駅からの周回バス(クラシックなスタイルのバス)を出している。
ルートは、大原駅−武蔵の里(宮本武蔵温泉)−日名倉山の日本最大のベル
−愛の村パーク・オルゴール館−粟倉温泉−大原駅というもので、
ちょうど後山バス停でバスを待っている時に、そのバスが通るのを見かけたので、
オルゴール館でそのバスを待って、粟倉温泉に行くのが一番効率的であった。

宮本武蔵駅で降り、重い荷物を持って10分ほど歩いて武蔵の里に着いた。
来年の大河ドラマに武蔵を放映することもあって、結構観光客が来ていた。
昨年来た時に、武蔵の生家や武蔵神社、武蔵の墓は見学しているので、
直ぐに温泉(クアガーデン武蔵の里)に向かった。
ところが工事をしていて、風呂が片方しか使えず、
男女日替わりで入るようになっていて、なんとその日は女性用の日だった。
従業員の人に話したら、あわくら温泉を紹介されたが、
マイカーでなく公共交通機関利用なので困難だと話したら、
武蔵の里の宿泊施設「五輪坊」のお風呂を、
日帰り入浴200円で利用させてくれた。

一応温泉で、疲れた体にはありがたかったが、
宿泊者も普段は向かいのクアガーデンを無料で利用出来るので、
5人も入れば満員くらいの湯舟で、普通の旅館のお風呂といった感じで、
もちろんジャグジーや露天風呂なども無かった。
この事が最初から分かっていたら、絶対に粟倉温泉に行ったのにと思った。

武蔵の里には立派な武道館があり、宿泊者も剣道の合宿が多いみたいで、
一緒にお風呂に入った人達の会話からも、そんな感じであった。
入浴後、前回来た時に見学出来なかった武蔵資料館(500円)を見て、
2本あとの列車で上郡に向かった。4時台の列車であった。
宮本武蔵駅で列車を待っていると、プラットホームの線路を隔てた反対側に、
多くのカメラマンが陣取っており、駅の看板や列車を撮影しようとしていた。
同じく列車待ちをしていたお婆さんが、色々ポーズを注文されていた。

自宅に着いたのは午後8時頃。
後で家で中国・四国地方の日帰り温泉の本を読んでいたら、
露天風呂のベスト10で、粟倉温泉が入っていた。
やっぱり粟倉温泉に行くべきだったと、大変後悔した。
最後の温泉の件を除けば、天候にも恵まれた山行だったし、
都道府県最高峰のコレクションも増えたし、満足する山行であった。