吉和冠山・寂地山山行報告(byコアラ)

コアラです。
4月29日(みどりの日)に、広島県で第2位の高峰、冠山に登ってきました。
今回は昨年の9月30日に雨天で登れなかった広島山MLのリベンジ企画
(その時は、山口県第二位の高峰、右谷山に登りました。)
ということだったのですが、
結局皆さんの都合がつかず、単独行ということになりました。

冠山という名の山はあちこちにあるので、この山は吉和冠山と呼ばれている。
標高1339.0mで、1300mを越える県内の山は、
最高峰の恐羅漢山(標高1246.4m)と
十方山(標高1328m)の3峰だけである。
今回の登頂で、これら全てに登ったことになる。

当初は車2台用意して、潮原温泉から登り始めて冠山に登頂し、
そこから山口県最高峰寂地山まで縦走し、
冠高原か寂地峡に下山しようと考えていたのですが、
単独行で車1台ということもあり、
潮原温泉から冠山に登り、寂地山まで縦走して、
またピストンで戻ってきました。結構歩きました。
ただし、行き帰り同じコースというのも何なので、
冠山−寂地山間の縦走は、同じ道のピストンですが、潮原温泉−冠山間は、
行きは一般登山道を登り、途中寄り道してクロソン岩に寄りました。
帰りは健脚コースである国体コースを下山しました。
(コースの詳細は、2万5千分1地形図「安芸冠山」、
山と渓谷社「中国の山」、中国新聞社「ひろしま百山」などを参照)
行きの一般登山道は、宮島在住のイラストレターさんが書いている、
「イラストで登る広島の山へ行こう!」で紹介されているコースである。

●コースタイム
登山口鉄橋7:50−オオタキ8:25−クロソン岩分岐8:40
−クロソン岩8:50〜9:00−一般登山道合流9:10〜20(雨具を着る)
−冠山山頂9:50〜10:10−松の木峠への分岐10:35
−寂地山山頂11:10〜30(昼食)−松の木峠への分岐12:00
−冠山山頂12:20〜50(コーヒータイム)−国体コース分岐13:15
−1129mピーク13:25〜30−898.6mピーク13:50〜55
−登山口鉄橋14:15

この日は天気が良くなく、降水確率は30〜50%。
単独行だし、行くのを止めようかという気にもなったが、
今度は何時行けるか分からないし、
広島山MLのメンバーもしばらく山には行ける余裕が無さそうだったので、
とりあえず、無理して行ってみることにした。
それと、冠山と寂地山の稜線はカタクリの自生地として有名で、
この時期を逃すと見れなくなってしまうので、
無理しても行こうという気になっていた。
それにしても、9月のときの大雨といい、
冠山は自分にとっては、天気の面では鬼門のようである。

6時半に自宅をマイカーで出発して、
時間効率を上げるために中国自動車道の吉和ICまで高速を使ったので、
午前7時半には潮原温泉奥の登山口に到着した。
車は1台しか止まっていなかった。

鉄橋を渡り、沢沿いの樹林帯の中の展望のない登山道を上がる。
雨がぱさついているようだが、特に雨具もなくても大丈夫であった。
クロソン岩分岐からは、岩場の急登になる。
クロソン岩に出ると強い風が吹いており、寒い。
岩の上に上がることも可能だったかもしれないが、
余りにもよく滑るので、安全を見て上がらなかった。
霧に覆われていて、全く展望がなかった。
一般道に合流したところで、雨具を羽織った。
そこからしばらく稜線沿いに平らな快適な尾根歩きをして、
その後急登をしばらく頑張ると、一等三角点のある吉和冠山山頂に着いた。
山頂には一組ご夫婦の先客があった。
しばらくコーヒーとか飲んで休んでいると、熊鈴の音色が近づいてくる。
熊鈴を付けた黒い大きな犬(一瞬熊かと思う)を連れた単独行者が到着した。
彼とちょこっと話してみたら、広電の冠山山行ツアーに申し込んだが、
満員で断れてしまったそうである。
そこで、潮原温泉側から登って、松の木峠側から登ってくるツアー一行と合流し
たら、あとは一緒に潮原温泉方面に下山する予定だとか。

しばらく休んだあと、寂地山方面に下山した。
しばらくは急な下りが続くが、カタクリの群生地である。
かなりいっぱい咲いていたが、やや盛りは過ぎていたのと、
降りしきる雨のためか、ややしなびた感じで元気が無い。
でも、元々おとなしそうに咲いている可憐な花だし、写真は色々撮ってみた。
松の木峠への分岐で先程の黒犬連れの人とは別れ、寂地山方向へ向かう。
この辺からは、軽いアップダウンはあるものの、
ほぼ平坦な快適なブナの原生林の尾根歩きである。
特に雨のためか霧でむせっており、幻想的な風情が醸し出されている。
カタクリのかわいらしい紫がかった薄いピンク色が、それに花を添える。
特にカタクリが綺麗に群生していたのは、寂地山の山頂手前の斜面である。

寂地山につくと、こんな天気なのに結構な人出であった。
昨年の4月に登った時は天気は良かったが、人は自分だけであった。
集団山行らしい一行もいて、集合記念写真とか撮っていた。
前回はカメラを持っていかなかったので、
今回山口県最高峰での登頂の証拠写真を撮った。
運良くベンチに座れたので、軽くおにぎりを食べながら休息して、
冠山に向け、もと来た道を戻った。

冠山では、ものすごい人出であった。どうやら広電バスのツアーらしい。
先程の黒い犬の人も、その仲間に混じって一緒に食事をしながら談笑している。
どうやら常連さんのようで、今回は運悪く申し込めなかったが、
山中のみ仲間達と一緒に行動するようだ。
そういえば、キャンプ7でも常連さんとかいたっけかな。
ツアーのリーダーとおぼしきひとが、地理院の地形図を広げながら、
色々と山のことについて説明していた。耳をそばだててみると、
登山ガイドの地図とかも便利でよいが、
地理院の地図は地形情報(等高線)が正確で、
植生の情報とかも入っているので林相とかも想像出来る。
本格的に山をやるなら、地理院の地図は必需品で、
これを読みこなせないといけない、と解説していた。
私は地理院の職員だとは名のらずに聞いていただけだったが、
山の専門家から高い評価を得てうれしく聞いていた。

ツアーの人達はまだ山頂でお昼を取っていたが、私は下山を開始した。
途中から一般登山道から離れ、クロソン尾根に入り、国体コースを下山した。
結構上り下りの激しいコースであるが、天気も回復してきて、快適に下りた。
途中の1129mピーク付近では、遠くにクロソン岩を望むことが出来た。
このコースはほとんど通る人もおらず、踏み分け道程度の急坂を下りる。
この間誰にも会わなくて不安だったので、途中で熊鈴を身につけた。
西中国山地はツキノワグマの生息地なのである。
笹の原っぱをかき分けながら下山したり、
足下に動く小枝みたいのがあって、良く見たらヘビだったりと、
何となくイヤな気分になりながらの下りである。
下りだったので、ある程度勢い付けて下りている部分もあるが、
登りだったら、よけい気が滅入ってきそうである。
898.6mピークには三等三角点が設置されており、
ここからより急な坂となって、登山口の汐谷に下りており、
最後は300段の木の階段である。
これが登りだったら、本当に大変そうであるが、
このコースは平成8年の広島国体の登山競技用に設置されたコースらしいが、
その後ほとんど手入れされておらず、木の階段は腐り落ちていた。
大変下り辛い状態になっていたが、気を付けて下りていたにも関わらず、
その腐った木の階段ごと落ちてしまった。
左腕をしこたま強くうち、摺ってしまい、流血の惨事となってしまった。
最後の最後で、トホホである。
そういえば、最近結構事故ることが多い(八甲田の時も転倒したなあ)。
運良く大けがまでには至っていないが、年4回くらいは大転倒しているな。
アルプスとか行った時には、本当に気を付けないと。

予定よりはだいぶ早く下山出来たので、
本来は冠山の下山後は潮原温泉のホテル「松かわ」で一風呂浴びるのだが、
(ここの温泉は、ラジウム含有量は世界有数。
大峰山山行報告の時、若干報告しています。)
近くの佐伯町に自分が所属する乗馬クラブがあることから、
3時から1鞍乗馬をして来た。
その後、スパ羅漢で一風呂浴びて、廿日市経由で帰宅した。
スパ羅漢は乗馬帰りによく寄っている温泉で、今回で4回目くらい。
広島市内のスーパー銭湯を除けば、県内で最もよく行っている温泉かな?
自宅に戻ったのは午後7時。
単身時代は出かけると深夜まで戻らない生活だったが、
女房・子供が出来ると、夕方までには帰るようになるものである。

というわけで、久しぶりに丸一日使ったハードな日帰り山行を堪能した。
天気が今一だったため、眺望も悪かったが、
カタクリも楽しめたし、ブナ林歩きや野鳥の囀りも楽しめたので、
久しぶりの広島ではハードな方の山行だったので、エンジョイ出来たと思う。
一日子育てからも解放してくれた女房にも感謝したい。