9月29日(日)に、可部冠山(標高735.7m)に登ってきました。
この日は、午後から第六管区海上保安本部の訓練公開に招待されており、
午後0時半までに宇品の広島港外貿埠頭に行かなければならず、
11時くらいには自宅に戻っていないといけません。
ただし妻子はいないので、いつものように午前9時頃に戻る必要はないので、
いつもの自宅近郊の早朝山行ではなく、
約3時間程度の山行時間で、登山口まで自宅から車で30分以上かかる、
ヤマケイの「中国の山」にも紹介されている可部冠山に登ることにしました。

冠山という名の山は中国地方には数多くありますが、
いずれの山も、名前の通りポコンと飛び出た山容が特徴的です。
広島県第2の高峰の冠山(4月29日に登っている)は吉和冠山と呼ばれ、
他にも今回の可部冠山の他、
湯来冠山、中野冠山、久地冠山、石見冠山などがあります。

可部というのは、広島市街から北へ車で30分程のところにある町で、
JR可部線が通っており、山に囲まれた盆地状の地形をしています。
昔ながらの町で、地形的な特徴から小京都的な雰囲気もあるとされています。
今は広島のベットタウンでもあり、市町村合併で広島に編入され、
今は安佐北区の中心的な町となっています。

可部の町の北に南原峡という紅葉の名所の渓谷があり、
ここを起点した周回コースで登って来ました。

●コースタイム
第一キャンプ場7:25−第二キャンプ場7:50−しるべ石8:10
−可部峠(長介茶屋跡往復)8:30〜45−可部冠山山頂8:55〜9:10
−西冠山9:25−明神ダム分岐9:40
−石采の滝分岐(道に迷う)9:50〜10:00−第一キャンプ場10:20

6時ちょい過ぎに自宅を出発したが、
朝飯を買いにコンビニ寄ったりして時間がかかってしまい、
また可部市街から南原ダムまで予想よりも時間がかかり、
南原ダムの北で道を間違えてしまい、備前坊山への林道に間違えて入ってしまう。
従って、登山口への到着が遅れてしまった。当初は7時に登り始める予定。
車は第二キャンプ場まで入れるが、今回周回ルートなので、
第一キャンプ場近くの第二明神橋を渡ったところの駐車スペースに止める。
当然渓谷の木々は青々としており、紅葉にはずっと早い。

道の両脇には赤いテープがずーっと張ってあり、山立ち入り禁止とある。
まるで登山禁止みたいな感じであるが、
おそらく地権者がキノコや山菜取りにはいるのを憂いて張ったものと判断、
(ひょっとしたら松茸が採れるのかも?)
冠山のピークハントには支障がないと判断した。
今年、中国山地の秘境の山である猿政山で、
地権者が登山道にロープを張って、入山禁止の処置をした。
ツアー登山等によるオーバーユースで、山が荒れるからだという。
ある意味、百名山の両神山の白井差登山道が廃道になったのと似たケースである。
白井差登山道は、環境庁と地権者の諍いが入山禁止処理の発端だが、
背景にはオーバーユースによって山が荒れるというのがあった様である。
山MLも一種の集団登山的な事もしているので、
山を荒らさない登山、他の登山者に迷惑にならない登山というのを、
常に心がけないといけないと思う。

第二キャンプ場から山道にはいるが、ここは昔の石州街道。
荒れてはいるものの、大正年間までは使われていた道で、
所々石畳や道標などが残されており、歴史を感じさせると共に、
山道としては非常に歩きやすい。展望は全くない。
可部峠で少し休むが、この先峠の茶屋であった長介茶屋跡があるので、
そこまで足を延ばしてみる。
茶屋跡は全くの草ぼうぼうの平坦地で、歴史の案内板があった。
浜田藩の参勤交代(藩主専用の一段高い上の間があったらしい)や
明治4年の5千人の百姓一揆などの歴史の舞台となった峠である。
明治17年に冠山西の明神峠越えの道路(現国道261号線)が開通し、
旧石州街道の可部峠越えは次第に衰退し、大正14年に茶屋を閉じている。
ここから先の石州街道はかなり荒れていて藪が深そうである。

可部峠に戻り、一登りで可部冠山の山頂。
展望が素晴らしく、可部の街並みや太田川、その向こうに阿武山などが望める。
この後急な坂を鞍部に下りて登り返すと西冠山(標高721m)。
ここで堂床山(標高859.6m)への縦走路と別れて、
南原峡への尾根道を急降下する。
樹林帯の中であるが、所々木々の合間から、
可部冠山、堂床山、明神ダムなどが見える。

コースガイドなどでは、一旦林道に飛び出し、
その後南原峡の加賀津の滝・石采の滝を経由して、
第一キャンプ場に下りるコースが紹介されており、
今回もそのコースで下りる予定であった。
しばらく尾根を下りると、石采の滝への分岐の案内板があったが、
すごい悪路で、赤いテープを頼りに下りてみたが、
途中でテープも見失い、下山路が分からなくなってしまった。
まさに、7月の白木山の悪夢の再現である。
しかも今回は、午後から仕事が待っている。ピンチ!!!
10分ほど色々道を捜してうろうろトライしてみたが諦め、
尾根沿いの道ははっきりしていたので、
どこに下りるのかは不明だが、この道を下りる事にした。

しばらく下りていたら、下から登ってきている人がいる。
今日初めて山で会った人だ。
挨拶がてら聞いてみたら、第1キャンプ場から登ってきたらしい。
結果として近道だったみたいで、その後10分も経たずに、
キャンプ場から加賀津の滝に登る遊歩道の一角に飛び出した。
林道との交差は、ちょうどトンネルの上を通過して気付かなかったらしい。
とりあえずほっとしたが、逆から登ってきたら、
私が下りてきた道の登り口は、ちょっと見つけ辛いかもしれない。
時間がなかったので、加賀津の滝・石采の滝には戻らなかった。

広島の山は、コースガイドに載っている道でも、結構分かりづらい。
登りならともかく、下りだと引き返す(登り返す)のも勇気がいり、
今回の様に時間がない時は、周回コースをとることに怖いものがある。
地図の専門家としては納得がいかない山行だったので、
紅葉の時期にでも南原峡にまた行って、
次回は加賀津の滝・石采の滝から登って、林道横断で尾根線に出て、
コースガイドに載っている正しい道をリサーチしておきたい。