両神山山行記録(八丁尾根単独行記)byコアラ
−ログハウス風山小屋・クサリ場ビシバシ稜線・鉱山集落漫遊記−
らくきょの登山は2回目の、ビジター参加のコアラです。
両神山は今年の5月に登っていたので、当初は今回パスの予定でしたが、
清滝小屋に泊まってみたかったことと、
紅葉の両神も素晴らしかろうと言うことで、急遽参加することにしました。
5月の時は、白井差から一位ガタワ経由で山頂に上がり、
梵天尾根を大峠まで縦走して白井差に下るという、日帰り周回コースでした。
今回は、登りは日向大谷からで初めてのコースですが、
下りは白井差(一位ガタワ経由)へのコースであったため、
山頂からは別行動で八丁尾根を縦走することとし、
リーダのTRさんにOKをもらいました。
このコースは、地図でも破線で書いてある難路コース。
当日山小屋で情報を収集して、天気等も総合的に判断して決めることとしました。
今回の報告は、清滝小屋と後半の単独行を中心に報告します。
紅葉は早すぎました。通常だと10月中旬から11月上旬が見頃なのですが。
やはり遅れているようです。
両神山は落葉広葉樹が多いので、ほんとに最盛期は見事な紅葉なのですが−−−。
ただし山稜部はやや紅葉が始まっており、
八丁尾根ではそれなりの紅葉が楽しめました。
●1999年10月22日(金):1日目
11時三峰口駅集合なので、
8:39上野発の快速アーバンに乗り熊谷へ(9:33着)。
熊谷9:45発の急行「秩父路」に乗り、三峰口駅に10:55着。
今回一緒に登る4人(IH、TR、NJ、YD)は既に又は同じ電車で来ており、
これで5人が揃った。
全員中央アルプスの夏合宿でも一緒だったので、
私としては懐かしく、精神的にも楽である。
タクシー1台に乗って、日向大谷に向かう。
今日は余裕があるので、ゆっくり歩く。天候は曇りで、ムシムシしている。
日向大谷11:35→12:10会所12:20→12:35たちや堀
ここで昼食。見晴らしのない樹林帯の中だが、木々の葉はまだ青々としている。
たちや堀12:55→13:25八海山13:35
→14:00弘法の井戸14:15→清滝小屋14:25
清滝小屋は数年前に火事で焼け、
新築されたログハウス風の外見は結構綺麗な小屋である。
早く着きすぎたが、我々は奥に陣取って酒盛りを始める。
次々とパーティが到着するが、今日は平日ということもあって総勢15名。
その内の3人パーティは、TRさん・IHさんの知り合いであった。
なかなか山屋の世界も狭いものである。
夕食はカレー。なぜか山で食うカレーはうまい。
夕食後は、消灯の20時頃までストーブを囲んで、泊まり客同士で語り合う。
人数が少ない山小屋は、これが楽しい。
それにしても、今年は大岳山荘、栂池ヒュッテ、白馬山荘と
少人数の快適小屋泊まりが多い。
●10月23日(土):2日目
次の日はうって変わって晴天である。私の晴男ぶりはここでも健在。
昨日の夜冷えたせいか、木々が少し色づいて、朝日の中で輝いている。
朝食は炊き込みご飯であった。
TRさんらの知り合いの3人パーティは八丁尾根を行くというので、
一緒に行けたら良いなと思っていたのであるが、直ぐに出発してしまった。
6:50 清滝小屋出発
クサリ場の連続する、急坂をどんどん登る。
両神神社奥宮 7:45着 7:55発
オオカミの狛犬がいる。ここからは5月に登ったコースだ。
途中の休憩舎からの両神山の展望が素晴らしい。
山頂付近はそれなりに紅葉しており、
緑と赤・黄がパッチ状に混じり合い、美しい。
両神山頂 8:25着 8:55発
風が強いが展望は素晴らしい。
秩父連山の他、富士山、八ヶ岳、南アルプスなどが見える。
八ヶ岳には雪が積もっているようだ。2週間後にいくのだが、心配。
(※本沢温泉に行ってきたが、2日目有志で天狗岳に登った。
雪は全く無く、展望も中ア合宿の最終日以上の展望でした。)
八丁尾根の方も見ると、険しい稜線が見えており、
崖のようになったクサリ場を例の3人パーティが登っているのが見える。
だいぶ先に行かれてしまったな。
それにしても、1人であんなところを登るのかよ、とつい思ってしまう。
一行4人は8:45にはもと来た道へ下りていった。
私は見送り、まだ10分ほど展望を楽しんだり、
一等三角点の写真を撮ったりしていた
(私は登った山に三角点があると、写真を撮るようにしている)。
そして、意を決して八丁尾根に向かって、単独縦走を開始した。
●八丁尾根の全体感想
このコースは経験者向きとなっていました。
そんなところを単独行でいくのは勇気がいりましたが、
どうにか縦走してきました。
クサリ場の連続で、正直言って怖いところもありました。
ただ慎重に行動すればどうにかなります。
登りはほとんどクサリを使わなくても、
上手く足をかけるところを探して登ることは可能でしたが、
下りは大変怖いです。
基本的には、登りの逆の体勢でクサリを使って下りましたが、
足場が見えにくいので、かなり慎重になりました。
両神山頂 8:55発
下山して直ぐに下りのクサリ場があり、結構緊張する。
それをすんなり抜けると、後は気が楽な尾根道の縦走である。
やがて東岳に到着。
東岳 9:20着 9:25発
展望が良く、これから辿るクサリ場のアップダウンの岩場が連続するのが見える。
こんなところを通らないといけないのかよ、といった感じで緊張しましたが、
見るだけだと紅葉がマッチした素晴らしい風景です。
ここから西岳までが、八丁尾根のハイライトである。
クサリ場の連続で、しかも下りが多いので大変。
これと比べたら、両神山までのクサリ場は、大した事無く感じられる。
特に下りが怖いのは、最初にクサリに手を掛けるときである。
どうしてもクサリが低いところにあるために、
それを取る際にバランスを崩しやすい。
どうしても大変なところは、岩場に体の正面を向けて、
登りの逆のような姿勢で下りることになるが、
その場合には足下がよく見えないため足場を探すのが大変で、
一回足場を踏みはずして、
腕力のみでクサリにぶら下がる羽目になってしまった。
やっとの思いでクサリ場の連続をおりきると、
そこがキレットである(10:10)。
そこで一息入れると、その先は絶壁のようなところのクサリ場の登りである。
これが、山頂から見えた3人が登っていたクサリ場だ。
ちょうど下りてくる人が目えたので、それをしばらく待つ。
下から見ていると、とても大変そうなところに見えるが、
彼はすんなり下りてきている。
しかもスニーカーだ。でも蟻のようだな。
すれ違う時に話を聞いたら、これを乗り越えれば直ぐ西岳で、
後は大したこと無いよとのこと。
彼から見える内に登っておいた方が安心と思い、
直ぐにそのクサリ場を登り始める。
そうすると以外にも、登りのせいかスイスイ恐怖も感じず登れてしまう。
クサリに手は掛けているもの、ほとんど頼れず登ってしまった。
そうしたらしばらくして、展望の素晴らしい西岳に到着。
西岳 10:25着 10:40発
これまでの緊張をほぐすため、しばらく景色を堪能しながら、休憩。
岩肌と紅葉とのマッチが素晴らしい。
この後は、行蔵坊という結構なピークがあり、
それを過ぎればそれほど顕著なアップダウンはない。
それでも岩尾根であることには変わりはなく、クサリ場は少しはある。
途中で、小学生の子供達の集団を連れた一行とすれ違った。
これから先、大丈夫だろうか?
それにしても、すれ違う人が多いので、
単独行でも余り不安になることが無く歩くことが出来た。
さすがに百名山だけのことはあり、人気がある山である。
八丁峠 11:40着 12:00着
どうこうしている内に、八丁峠に到着。これで、八丁尾根縦走は終了。
全体として、難路通過に登山地図で約2時間かかるところ、
休憩時間除いて2時間半かかった。
私は休憩時間を除くとコースタイム以上かかることは、
これまではまず無かったので、今回結構苦労していたことが分かる。
ここでお昼のおにぎりを食べることにした。
峠自体は余り展望はないが、峠の東側に展望台がある。
そうすると、反対方向から下りてくる人がいる。
聞いてみると、赤岩峠の方まで行ってきたらしい。
こちらは危険なので立入禁止になっていコースだ。
特段特別な装備もしていないし単独行なので、
危険でないのかと聞いてみたら、大した事はないコースだよとの返事。
地元埼玉の方で、バイクで来ていて、何度もこの領板域は歩いているらしい。
私が歩いているのは、地図に載っているような簡単なハイキングコース
ばかりで、上には上がいるものである。
この後、私は当初坂本の方に下りる予定であった。
3人パーティもそちらに下りると言っていた。
しかし、清滝小屋の主人は、9月末の台風でコースが荒れており、
それ以降歩いている人はいないと言っていた。
これまですれ違う人にどこから登ってきたか聞いてみても、
ほとんどが上落合橋からか、金山志賀坂林道のトンネルの手前からで、
坂本から登山道を登ってきている人はいない。
坂本までは地図では100分の下りである。
途中で道が下りられなくなっていたら、引き返すのも面倒である。
しかも、坂本からのバスの時刻も今一つ不明で
(一応調べてきたのであるが、清滝小屋に貼ってあるものと違っていた)、
下手をすると3時間以上は待たされるかもしれない。
そんなことを考えたら、車道歩きがとてつもなく長いけれども、
30分で車道に出れる上落合橋コースを選んでしまった。
落合橋 12:35着 12:45発
ここでバイクの人とは別れる。
バイクなので乗せてもらうわけにはいかない。
ここからは地図上では100分の車道歩きである。
この辺は日窒鉱山(ケイ石・石灰石)の鉱山地帯である。
くねくねと九十九折りの車道を30分ほど下りると赤岩橋に出る。
この辺から鉱山集落が始まる。
私が20代前半の頃、日窒鉱山の鉱山保安監督検査に来た時に、
鉱山集落の宿泊施設に泊まった事がある。
あの時はやたら熱い風呂に入ったのを憶えている。
まだ鉱山住宅には人が住んでいる気配がある。
だんだん下りてくると、閉まってはいるが生協のような購買施設があり、
自販機があったので思わずジュースを買って飲んでしまう。
やっと生き返った。
それにしても、何となくノスタルジックな空間である。
共同浴場があり、学校がある(廃校になっているのだろうか?)。
それから、映画館の跡地もある
(おそらく鉱山華やかかりし頃は、多くの人が住んでいて、
労働者の唯一の娯楽が映画だったのであろうか?)。
ようやく、鉱山の中心部に来て、
傾斜地に立てられた選鉱場の建物が見えてきた。
選鉱場自体は稼働しているようである。
事業所本部の建物(郵便局付き)を過ぎると鉱山集落も終わり、
雁掛トンネルを抜ける。
それにしても、トンネルを歩いて抜けるのは変な気分である。
明かりはあるものの、一番真ん中あたりになると、
前も後もかすかに入口が見えるだけで、
足下など良く見えずつまづきそうになり、気が滅入ってくる。
トンネルを抜けると大黒の坑内堀をしているところである
。
ヒッチハイクでもして下りようと思っていたのであるが、
土曜日のせいか鉱山の車には全く会わない。
反対方向に登っていく、ハイカーらしき車には会うのだが、
何せ私の進む方向の車が全く来ない。
そうこうしている内に、神流川沿いに車道を下りていく。
この辺りは、紅葉だととっても美しそうなところだ。
まだ、広葉樹が青々としているのが、残念である。
出合 14:15着
1時間半の車道歩きで、ようやくバス停のある出合に到着。
バスが来るまでにちょうど15分くらい。
1日4本しかないのだから、グッドタイミングである。
ちんたら歩いていたら、5時まで待たされるところであった。
河原で遊んでいるハイカーらしい人がいるので挨拶したら、
例の3人パーティであった。
彼らも結局、坂本に下りずに日窒鉱山側に下りてきたとのこと。
彼らは1時間以上待っているらしい。
私としては、坂本に下りずに正解だったのだろう。
バスが来て乗り込む。
三峰口に着いてから、日帰り温泉を探すが、近くにはないとのこと。
途中の駅で下車して、しかも車でも使わないと行けないらしい。
途中、大滝村役場の近くにはあったらしいが。失敗した!!!
温泉はあきらめて、西武線直通急行(といっても飯能までは各停だが)の時間まで、
駅前のそば屋でけんちん蕎麦を食う。
お昼は食ったのに、なぜか食欲が湧いてしまう。
この店は、結構ハイカーでごった返している。
急行が池袋に着いてから、TRさんに無事下山した旨TELした。
これで、両神山八丁尾根単独行は無事終了した。
1年に2回も両神山に登ってしまったが、なかなか面白い山行であった。
次回以降も、チャンスがあればらくきょの皆さんと山行を楽しみたいものです。