鳳凰三山山行報告

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●マゾッコメグの報告

マゾッコメグです。

6月21日(土),22日(日)、
南アルプスの鳳凰三山(薬師岳・観音岳・地蔵岳)に行って来ました。

今回の参加者は
(男性)マゾッコメグ、猿、フリッシュ
(女性)タケちゃん
の計4名。

自分は7月以降、家庭の事情で山に行く機会が大幅に制限されてしまうので、
これが登り納め山行となった。
登り納めはアルプスの本格的な山行にしようと決めており、
できれば白峰三山(北岳・間ノ岳・農鳥岳)に行きたかったのだが、
6月ではまだ営業していない山小屋もあり、
かと言って7月に山に行くのも無理なので、鳳凰三山に行くことにした。

南アルプス林道が崩落のため閉鎖され、7月まで復旧しないという話なので、
南アルプスでは行ける山やコースが制限されてしまった。
鳳凰三山は夜叉神峠から登るコースがメインで、
そこまでなら林道の崩落も関係なさそうだったが、
他にいいルートはないかと調べてみたら、韮崎から青木鉱泉方面に行き、
そこから中道を登れば土曜日の早朝出発でも大丈夫そうだと判断した。
ただし標高差が1500m程もあり、かなりきつい登りになりそうだった。
ちなみに夜叉神峠から登れば、標高差は小さくなるが、
歩行時間が長くなり、土曜日の早朝出発では厳しく、
金曜日の晩のうちに「ムーンライト信州」を使う必要があった。

梅雨の時期に入っていたので、天気の方が心配されたが、
幸い天気の方は問題なさそうで、自分の晴れ男ぶりを再確認した。

<6月21日(土)>つくば−荒川沖駅−日暮里−新宿−韮崎駅−登山口
−御座石−薬師岳山頂−薬師岳小屋

AM4:40にマイカーで自宅を出発し、
荒川沖5:25発の常磐線始発で日暮里に出た。
金峰・瑞牆の時と同じ列車だった。

今回もこの列車にタケちゃんが乗っている筈だったが、
今回は自分が「スーパーあずさ1号」の自由席車両に乗るのに対し、
タケちゃんの方は指定席をとったということで、
どうせ別の車両に乗るのなら常磐線だけ一緒でも意味がないと思い、
特にどの車両に乗るかという打ち合わせはしていなかった。
フリッシュさんも金曜日のうちに韮崎に行って宿泊することになっていたし、
猿さんも各駅停車で韮崎に行くとのことで、
韮崎に着くまで仲間とは合流できないと思った。
しかし、6:23に日暮里に着いたが、ここでタケちゃんに会えたので、
新宿までは一緒になれた。

新宿には6:50ちょっと前に着いた。
新宿7:00発の「スーパーあずさ1号」には何とか間に合いそうだったが、
駅の工事の関係で、「スーパーあずさ」が出る6番線まで
やたらと歩くハメになった。
タケちゃんは8号車に乗り、私の方は自由席の空きを探すことになり、
ここでしばしの別れ。
結局、4号車に乗ったが、残念ながら座ることはできなかった。
立っている人は僅かだったのだが・・・まあ座れないのは覚悟の上だったし。

8:37に韮崎に到着。猿さんやフリッシュさんともすぐに合流できた。
ここからタクシーで、青木鉱泉より少し先の登山口まで行った。
青木鉱泉までバスが出ることもあるのだが、
季節運行で6月はバスが出ないのだ。
予め韮崎タクシーに電話して予約をとっておいたので、
今回はタクシー待ちの心配はなかった。
今回は時間的にも厳しいものがあるので、ここでタクシー待ちなんてしたら、
明るいうちに山小屋に着かない恐れもあったのだ。
今回の運転手は雨宮さんという人で、
2週間前に瑞牆山荘から韮崎駅まで乗った時とは別の人だった。
申し訳ないが、今回も一番横幅の広い自分が助手席に乗ることにした。
甲州街道を北上し、穴山方面から林道に入ったが、
この林道はバスも通る筈なのにガタガタで、結構揺れた。

9:37に登山口に着いた。天気が良く、暑い位だった。
鳥か蝉か、何かの鳴き声が凄かった。
タクシー代は6890円で、山小屋に着いてから
他のメンバーから1700円ずつ徴収することにした。

準備運動などをして、9:45に出発。
登山道に入ってすぐ、左手に廃墟と化した建物が見えた。
ここから先の登山道は、とにかく急な登りばっかりで、
メチャクチャきつかった。
他のメンバーのペースが速く、ついて行くのも大変だった。
登山口から薬師岳山頂までは標高差が1500m程もあり、
これまでの山行の中でもトップクラスの標高差だった。
もう二度とこの道は歩きたくないと思った。
ただし登山道の整備は行き届いていた。すれ違う人は本当に少なかった。

PM12:00頃、長い休憩をとった。
途中にはあまり目印となるものがなかったので、自分がどの辺にいるか、
なかなか分からなかったのも、疲れを増幅させた。



途中の御座石には1:05に着いた。ここで20分休憩をとった。
この先からだんだん岩場が多くなって来たが、この辺は脆い岩が多く、
また岩が崩れてザレ場となっている所が多かったので、
歩きにくい面もあったが、足にかかる負担が小さいのは有り難かった。
大きな岩の上で寝転ぶこともできたし、眺めも良かった。



薬師岳山頂には3:05到着。標高は2780m。
コースタイム4時間半のところを5時間20分かかったが、
休憩もかなりとったことを考えると、決して遅いペースではなかった。
しかし疲れた。

山頂からは北岳の雄姿も拝むことができた。
山頂で髭を生やした、マニアックな雰囲気の小父さんと出会ったが、
その人が山頂で携帯を使えるかどうか、
色々と場所を移動しながら調べていた。
市街地に面した岩場の方だと携帯がつながると言うので、
自分も試しに自宅に電話してみたが、つながったものの、
あいにく留守だった。
またその小父さんも薬師岳小屋に泊まるらしい。

3:30に山頂を出発し、直下にある薬師岳小屋には3:40に着いた。
とにかく疲れたこの日の山行だったが、
何とか小屋に着くことができて、一安心した。
早速宿泊の手続きをとった。
翌日の昼食の弁当も込みで、1人8800円だった。
大きな小屋ではなかったが、宿泊客は20〜30人で、
それ程混んではいなかった。
2階にも寝室があったが、ここで寝る人はいなかったようだ。



小屋の前にテーブルやベンチが設置されていたので、
手続きをとって荷物を置いたあと、早速飲み会が始まった。
フリッシュさんが持って来た中国の酒はかなりアルコール度数が高かった
(どれ位だったかな?)。みんなつまみを持って来たので、それも食べた。
外国で日本語がどれだけ通じるか、という話や、訛りの話が多かった。

夕食は5:30からだったが、おでんが出た。
高地だから気圧が低く、ご飯もどうしても芯が入ったものになってしまう。
しかし何よりも水場がなく、
天水に頼るしかないこの小屋で飯を炊くのは大変だと思う。
ここでの話題は、フリッシュさんの故郷の中国・四川の料理の話など。
四川の料理は、日本の四川料理店で出るものよりずっと辛いらしい。

猿さんが夕べ2時間程しか寝ていなかったとのことで、
かなり眠そうだった。夕食後、すぐに寝てしまった。
自分も少し寝た後、夕陽を見にちょっと外に出たが、夕陽は今イチだった。
タケちゃんとフリッシュさんが食堂で
備え付けのアルバムやら本やらを見ていた。
消灯は8:00。

<6月22日(日)>薬師岳小屋−薬師岳山頂−観音岳−アカヌケ沢ノ頭
−地蔵岳(賽ノ河原)−オベリスク−鳳凰小屋−燕頭山−旭岳−西ノ平
−御座石鉱泉−穴山駅−甲府駅−小作−甲府駅−新宿−神田−上野
−荒川沖駅−つくば

AM4:00に目が覚めた。
4:30頃日の出を見に山頂まで行った。
猿さんやフリッシュさんも来ていた。
雲が少し出ていたが、それでも日の出はしっかり見ることができたし、
八ヶ岳や富士山の紫色のシルエットは感動的だった。
反対方向を見ると、北岳に朝日が当たってピンク色に染まる姿も拝めた。
小屋に戻るとタケちゃんがいたが、
彼女は小屋の近くの岩場から朝日を見ていたらしい。





5:30から朝食。朝食のメニューは魚や漬物など。

6:20出発。薬師岳山頂を経由し、観音岳山頂には7:00到着。
観音岳は標高2840mで、鳳凰三山の中では最高峰になる。
山頂は岩場になっていたが、ここからは北岳は勿論、
甲斐駒や仙丈の姿も見ることが出来た。
まだ雪渓がだいぶ残っている山が多かった。
地蔵岳やオベリスクも思ったより近くに見えた。
あと観音岳という名前ゆえか、小さな観音様も祀られていた。
ここで前日のマニアックな小父さんにまた会った。
鳳凰山は既に20回くらい来ているとか、凄い話をたくさん聞いた。

7:25に観音岳を出発し、岩っぽい道を登って、
近くにオベリスクが見える所まで来たが、ここが山頂かと思ったのに、
山頂の標識がない。ここがアカヌケ沢ノ頭らしい。
道標を見ると、山頂はここではなさそうなので、道を下ってみた。
途中、雪渓を歩いたりして、道を間違えたのではないかと心配になったが、
どうやら間違いではなさそうで、8:47、
地蔵岳山頂の標識がある地点に辿り着いた。
地蔵岳山頂の標高は2764m。
これはオベリスクのてっぺんの標高だろうか。
道を下りた所に山頂の標識があるというのは奇妙だが、
とにかくここで、オベリスクをバックに標識と一緒に記念写真を撮った。
この近辺は賽ノ河原といって、砂地に小さな地蔵がたくさん並んでいた。



ちなみに「オベリスク」というのは、
「焼串」を意味するギリシャ語の「obelisk」から来ている。
古代エジプトの細長い記念碑のことも「オベリスク」と言うらしい。
確かに地蔵岳のオベリスクも形は似ている。

ここでみんな、オベリスクに登ることになった。
自分は疲れが溜まっていたので躊躇したが、行くことにした。
巨大な岩に登る訳だから、当然、険しい岩道だったが、
途中からそれが更にきつくなった。
自分はここで登るのを一たん諦めたが、他のメンバーが皆
もっと上に登って行ったので、自分も行ってみることにした。
オベリスクのだいぶ上の方まで来たが、本当のてっぺんまで行くには
ロープをよじ登らなくてはならず、我々はここで登るのを断念した。
件のマニアックな小父さんはてっぺんまで登ったことがあるらしいが、
この人が言うには、オベリスクのてっぺんは四角くなっていて、
この上で吸う煙草が旨いらしい。
しかしここまで登るのも十分きついし、何よりも怖かった。
自分でもよくこんな所まで来られたな、って思う位だった。



オベリスクを下りて、9:35に地蔵岳山頂を出発。随分のんびりした。
この先の道は急な下りだったが、ザレ場で足には負担はかからず、
いいペースで下りられた。

鳳凰小屋には10:00到着。
コースタイムでは50分かかるところを25分で着いたのだから、
驚異的な速さだ。ここに水場があったので水を補給し、トイレも借りた。
ここの主人は髭を生やした小柄な小父さんだったが、
何とも気のいい人であった。この主人が言うには、
7、8月になるとこの近くの河原でエーデルワイスが咲くらしい。
またこの後我々が行く登山道の笹を刈っておいてくれたという話を聞いた。
ここで学生さんの団体が食事をしていた。

この先の道はもっとなだらかかと思ったが、
意外に起伏があったような気がした。
燕頭山山頂に着いたのは11:25。樹林帯の中で、展望はなかった。
標高は2105mで、だいぶ下った。ここで弁当を食べた。
先程の学生さんがここで我々に追いつき、先に行ってしまった。
この辺の道は笹が刈られた跡があり、
鳳凰小屋の主人が刈ってくれたものだと分かった。

11:55に出発したが、この先の道は急な下りが多くなった。
それ程歩きにくい道ではなかったが、一度コケてしまい、その際に
右足首を捻挫してしまった。幸い軽傷で、歩くのに問題はなかった。
途中、旭岳を経由した。小さな祠があった。登山道の右側は開けていた。
西ノ平にはPM1:20着。ここで道が分岐している。
ここまで来ると御座石鉱泉はもうすぐだ。

御座石鉱泉には1:55到着。やっと温泉に入れる。
しかし風呂は一つしか沸かしていないので、男女交代で入るしかないと言う。
我々男性陣が先に入り、タケちゃんが後に入ることになったので、
急いで入った。
風呂は小さく、露天もなく、少々変な臭いがして、あまり良くなかった。
これまでの経験から言うと、公共浴場だと風呂だけが売り物なので
風呂の質もいいが、ホテル等の日帰り入浴は風呂以外もあるので、
風呂は今イチのことが多い。今回も旅館の日帰り入浴だ。
男性陣の中では自分が最後になってしまい、
これじゃあタケちゃんに悪いと思い、急いで上がったら、
彼女が既に脱衣所の外で待っていた。自分が上がったのは2:40頃で、
常識外れなほど遅かった訳ではないのだが・・・



宿の方で有料で送迎バスを出してくれるそうなので、
頼むことにしたのだが、料金が如何ほどかが気になった。
入浴前に料金を聞いたのだが、この時我々の直後に降りて来た
件の学生さん達が温泉に入らずにタクシーで帰ることにして、
宿の小母さんにタクシーを呼んでくれるように頼んでいたところだったので、
小母さんも学生さんに気を遣ってか、
この時は送迎バスの料金は教えてくれなかった。
脱衣所で私が服を脱いでいる時に脱衣所の外から教えてくれたが、
全部で6000円だと言う。
入浴料も込みで4人で6000円なら安いと、この時は思ったのだが、
風呂上がりに我々が宿の前でビール飲んで(蕗の漬物もサービスしてくれた)
くつろいでいる時に料金を請求されて、ぶっ飛んだ。
何と全部で6000円と言うのは送迎バスの料金で、1人1500円。
入浴料は1人1260円らしい。
入浴料の高さも驚きだが、送迎バスの料金にはもっと驚いた。
1人1500円なら、学生さんに気を遣って言わないでおく程の
金額とも思えないのだが・・・。
行きの韮崎駅−登山口間が6890円で、
帰りの御座石鉱泉−穴山駅間はそれよりずっと短いから、
タクシーなら1人1500円もかからないと思うのだが・・・
最初から送迎バスの料金を知っていたら
タクシーを使っただろうと思うと、悔いが残る。
ただし送迎バスの運転手が話し好きで楽しかったのは良かった。

送迎バスは3:40に出発し、例によってガタガタの道を通り、
穴山駅には4:20に着いた。
穴山駅から徒歩10分のところにある、深田久弥氏の終の宿として知られる
「穴山温泉・能見荘」を見に行くという選択肢もあったのだが、
4:45発の各駅停車に乗りたかったので、能見荘に行くのは断念した。
穴山駅は無人駅で、当然切符を買うことは出来ないので、
乗車証明書を貰って乗った。

ここでまた、甲府で降りてほうとうを食べて行こうという話になった。
今回は温泉にも入った後なので、付き合うことにした。
甲府には5:12着。
ここで穴山−甲府間を精算した後に甲府から荒川沖までの切符を買うか、
乗車整理券を見せて改札を出て、精算は荒川沖に着いた時にするか、
どっちにするか迷ったが、結局前者の方法を選んだ。
結果的には後者のやり方の方が何十円かの差だが安かったようだが。

ほうとうを食べに入ったのは「小作」という店で、
去年9月に仙丈ケ岳に行った後で入った店と一緒だった。
実は2週間前の金峰・瑞牆の後で入った店も「小作」だったらしい。
暑い季節になったので、「うなざら」を頼んだ。
鰻丼と冷ほうとうの組み合わせだ。しかし他の人は熱いものを頼んでいた。

帰りは甲府6:55始発の「かいじ122号」に乗る予定で、
自由席に乗ることにしていた。
猿さんだけ6:59発の各駅停車で帰るつもりだった。
私とフリッシュさんとタケちゃんは自由席を取るために早くホームに並ぶ
ことにし、駅で買い物をすることにした土屋さんとは一たんここで別れた。
この後またホームで会えそうなら会おう、という話になっていたのだが、
かいじより1本早い6:38発の「あずさ192号」の自由席が
意外に空いていて、座れそうだったので、
猿さんには申し訳ないが、先に帰らせて貰った。
後で私の携帯から猿さんの携帯に電話したら留守電になっていたので、
挨拶のメッセージは入れておいた。

新宿には8:16着。中央線快速に乗り換え、神田には8:40頃着。
上野に出て、上野8:51発の常磐線に乗った。
タケちゃんは上野9:00発の特急「スーパーひたち59号」で帰った。
我々の荒川沖到着は9:56。私の車でフリッシュさんを家の前まで送り、
つくばの自宅には10:25に着いた。

今回の山行で登り納めとなりそうだが、今回は天気も景色も素晴らしく、
とても楽しい山行となりました。一緒に楽しんでくれた皆さんに感謝します。
しかし、今回の山行は本当にきつかった。
2日目はまだいいが、1日目の登りっ放しのコースには参った。
生涯でも一番きつい山行だったかも知れない。
下山後も3日間は筋肉痛になったが、
それ以上に捻挫した右足首が問題で、2週間経った今でも痛い。
まあ今後しばらく山に行く予定がないからいいけど。
本格的な山登りを再会するまで、体力を低下させないよう、
しっかり体を鍛えておこうと思った。
また、私が山行に参加できない間も、
山ML企画が活発に行われることを期待しています。

韮崎タクシー 0551−22−2235
薬師岳小屋 0551−22−6682
鳳凰小屋  0551−27−2018
御座石鉱泉 0551−25−2927
青木鉱泉  0551−25−2924
穴山温泉・能見荘 0551−25−5011